入れ子の出逢い

2017.10.6|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 KJWORKS

 

〈業態がごちゃまぜになったようなお店には、分けられたお店にはない体験が生まれそうです。〉

 

 

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

 

 

昨日のことになりますが、珍しく京阪枚方市駅に降り立ちました。近くにある「大阪府枚方土木事務所」に木の保育園での協議事項があったのですが、その帰りにはじめて「枚方T-SITE」へちょっと寄ってみたんです。こういう建物です。

 

 

箱が積み重なったような面白い外観ですね。この施設は枚方を発祥の地とする蔦屋書店の会社、CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)が運営している複合商業施設。やはり創業の地ということで、かなり気合の入った建物でした。

 

 

 

中に入ると、やはりTSUTAYAということで書店を中心とした空間づくりです。いま段々と書店が淘汰されていく中で、こういう「複合型書店」とでもいうべき業態をTSUTAYAは推進しているようですね。私には新鮮で、とても面白い。

 

 

 

なんというか、フロア全体が書店なんだけど、その中に別の店がまるで「コーナー」のようにポンと置かれている、そんな感じです。置かれているのはスタバ、T-TRAVELという系列の旅行会社、そして冒頭の写真の「金子眼鏡」さん。

 

 

 

店舗内店舗という、まるで「入れ子」のような構造のお店のあり方なのですが、最初はよくわからず、本棚の間を歩いていると、ある一角で急に本が眼鏡に置き換わっている。家具や什器のデザインも近い感じなので、区別がつきにくい。

 

 

 

おそらく、それが狙いなのでしょうね。慣れない私はすっかりその狙いの思う壺でしたが、でも考えてみれば本屋の中に眼鏡店があるのはとても合理的。何故ならその思いがけない出会いがとても印象深い時間をつくってくれたのですから。

 

 

 

お恥ずかしい話ですが、実は最近めっきり老眼が進行しておりまして、電車での読書も顔の近くだと字がかすんで見えません。といって離すと混んだ車内で邪魔だし、困るんです。さらに「図面」が読めないとなると志事にも差し支えが。

 

 

 

まだ本当に切迫した状態ではなく、徐々に困ってきている程度。そういう「さほど困らない」段階でわざわざ眼鏡店に行くというのが、私には勇気が要るんです。なにせ眼鏡というものを掛けたことがなく、眼鏡店も未知の場所ですから。

 

 

 

そういう潜在的な悩みをもった私でも、本屋の一角に突然現れた眼鏡店には、すっと抵抗なく入っていけた。そして店員さんに症状を包み隠さずをお話して、眼鏡選びのポイントを教えていただいたり、色々掛けてみたりも出来たんですね。

 

 

 

その思いがけない体験に、とても心理的にほっとさせられました。ああ、こういう風に「はじめて」の敷居を低くするという効果が、こうした入れ子のお店にはあるんだなあ。それをまさに肌で実感できたのは、正直ちょっと感動でした。

 

 

 

考えてみれば書籍とは全ての「知」への入口ですから、旅行関係書籍の延長としてそこに旅行会社があってもいいわけです。読書という時間の過ごし方に着目して、カフェをつくってもいい。そして読書の不自由をケアするための眼鏡店も。

 

 

 

これこそが「体験を売る」ということなんですね。慣れない親父には新鮮で、しかも密かな悩みごとに解決の糸口が見えて何だか得した気分。さらに「商いのやり方」というものの無限の可能性もまた感じることが出来たひとときでした。