バランス探し

2017.10.9|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 KJWORKS

 

〈空間イメージ実現のための共通言語として、MUJIの店舗を見て回ってきました。〉

 

 

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

 

 

今日は志事を夕方で切り上げ、梅田のグランフロントへ寄って帰ることにしました。いま進んでいる保育園計画の空間イメージについて、お客さまとの共通認識をしっかり持つためのインプットが狙い。向かった先は、無印良品の店舗です。

 

 

 

以前から、このグランフロントのMUJIが今回実現すべき空間イメージのお手本としてありました。それを私なりに解釈して計画を進めてきましたが、いよいよ今月後半の着工を目前にして、私ももう一度しっかりと把握をしておきたくて。

 

 

 

この店は私も好きで、今までに何度も来ています。だいたいはわかっているつもりですが、床・壁・天井の仕上げや商品陳列のための什器類まで、色目、質感も合わせてもう一度きちんと頭に入れておくべきと感じたための視察訪問でした。

 

 

 

皆さんも行かれたことがあると思いますが、普通は商品を見に行かれるわけで、空間の仕上げや什器にはあまり眼が行かず、記憶に残るのは漠然としたイメージだけかもしれませんね。でもよく見ると、各コーナーでかなり違いがあります。

 

 

 

今日の視察の主旨を一言でいうと、「木部の色合い、そして白、黒、金属色とのバランスのあり方」です。それらが渾然となりつつあるバランスをもって成立していることが、このMUJIの店舗空間を独自の雰囲気にしている筈ですから。

 

 

 

冒頭の写真は時計の売り場でしたが、壁面がパイン材の「古びた感じ」の仕上げ、そこにシルバーの什器があり、置かれている商品には黒が入っている。このバランスも好ましいですが、「Found MUJI」のコーナーはまた違っています。

 

 

こちらはコンクリートっぽいグレーの仕上げで、同じパイン材の什器もぐっと色が濃くなっています。この違いはやはり、全体のバランスを見ながらコーナーごとのまとまりをつくり出し、他と差異化することが図られているようですね。

 

 

こちらは免税の方のレジカウンター廻り。壁面の板の色も違います。こちらはパインというより米松材の感じ。そして私の感覚では、この方が「黒」とは相性がよいように感じられます。写真でもキュッと入った黒いフレームが効果的です。

 

 

こっちは1/2スケールの「無印良品の家」があるコーナーで、この左官の壁もチェック。質感はとてもいい感じ、でもこの色目は今回の保育園計画とはちょっと違う気がします。ちょっと黄土色が強く、木部との相性がいまひとつかな?

 

 

これは鉢植えやエアプランツのコーナー。こうして木の壁面に緑がある、というのも安らげる感じでなかなか良いですね。それはしかし、このちょっとラフな質感の木材だからこそのバランスである、というあたりも見逃せません。

 

 

 

とまあ、こんな感じで広い店内をあちこち歩き、各々の素材の面積比、色目、質感を体感してきたのでした。やはり百聞は一見に如かず、というか、ある計画を前提にしてその図面を頭に描きつつ見て回ると、全く違って見えるから不思議。

 

 

 

普段いかに漠然と眺めているか、ということですが、しかし観察の眼で集中すると視えてくることが多々あります。他のお客さんを気にしながら写真を撮ったりしつつ、私の中で徐々にひとつのバランスがまとまってくるのを感じました。

 

 

 

やはりこの無印良品の店舗空間に、部分的な「黒」は欠かせない引締め役である。それを活かすためにどう他の色合いが面積を占め、比率を調節していくのか。最後はそういうシミュレーションを頭のなかでおこないながらの観察へと移行。

 

 

 

実際の空間を引き金に、空間のあり方が徐々にかたちになる。そんな時間はとても愉しいものですし、その実体験を元にした提案には説得力というか、響く力が宿っているように思います。やはり「モノの力」は大きいということでしょう。

 

 

 

如何な創造行為と言えどゼロから全てを生み出すのは不可能で、どの創作も必ず何かを下敷きにし、何かに触発されてこそ生まれ出るもの。それを剽窃でなく昇華にするための「咀嚼」こそプロの技術だと改めて想えた学びの時間でした。