優しくがっちりと

2017.12.1|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 KJWORKS

 

〈安全のための工事、でも見た目も使い勝手も一緒に考えます。〉

 

 

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

 

 

今日は朝から西宮のお客さま宅へ、大工さんと一緒に。「家守り」の一環で、あるちょっとしたメンテナンス工事をさせていただきにお伺いしたのでした。ちょっとしたこと、でも安全で安心な暮らしにとても大切なこと、そんな工事です。

 

 

 

冒頭の写真がその完成形。このお宅は2階がリビングで、その上に一部ロフトがあります。それも、畳敷きのロフト。ハシゴで上がって行くとても楽しい場所になっていますが、まだお子さんが小さいため、実際に暮らすと少しまだ危ない。

 

 

 

危ないというのは、そのロフトへの上がり口のところ。それ以外は手摺というか柵があるのですが、お子さんが夢中になって遊んでいると、時にはその上がり口から落ちそうな気がすることがあって怖い。そんなことへの対策工事なのです。

 

 

 

最初は引戸をつけるなど「建具」での対応を考えました。でも、やはりそれではぶつかった時などに強度が保てない?と思いましたので、私としてはちょっとお薦めしづらい。開け閉めが楽なことは、外れやすいことと表裏一体ですから。

 

 

 

ということで少し面倒ですが、両側にガイドをつけて赤松の集成材でつくったパネルを上から落とし込む、という方法にしました。これが一番がっちりしている。安全のための工事なので、見た目や操作性はどちらかと言えば二の次かと。

 

 

 

とはいえ、やはりちょっと見た目も工夫したい。お子さんが遊ぶ場所だし、見た目も楽しい感じになれば。そんな想いがパネルに空いた5つの穴になりました。一応私としては、意匠的な柔らかさ以外にも、この穴には理由があるんです。

 

 

 

ひとつは、強度を保ちながら少しでもパネルを軽くすること。次に、パネルを上げ下げする時の「持ち手」になること。そして、お子さんが遊ぶときに「覗き穴」になったりもすること。ちなみにパネルを外した時は、こんな感じです。

 

 

 

建築というのは、どうしても直線主体の意匠になりがちですが、こうして少し丸が入ると、何だかとても優しい感じになりますよね。集成材のしっかりしたパネルだからこそ出来るデザインだし、木の温かみともよく合っていると想います。

 

 

 

事前に大工さんが工場で加工してきて、現場では寸法を合わせてカットし設置するだけ。ほんの30分ほどで完成でしたが、でもなかなか可愛らしく出来たのではないかと。お客さまにもその丈夫さと優しい雰囲気を喜んでいただけました。

 

 

 

家づくりには、こういう「実際に暮らしてみて初めてわかること」が必ずあります。そのわかった結果の微妙な方向修正に、建築屋としてうまく智慧を出して合わせられるかどうか、それもやはり経験がものを言う部分なのかもしれません。

 

 

 

ほんの小さな工事でも、己のそれまでの経験と知識と美意識とを総動員して、色々と考えてつくります。その結果が上手くいったら、やはりとても嬉しい。「家守り」とは本当に奥が深いものであるなあ、今日もまたそう感じられた私です。