手仕事のはざま

2017.12.6|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 KJWORKS

 

〈現場打合せで職人さんのもつ智慧を聞くのはとても面白いのです。〉

 

 

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

 

 

コンクリート建築の中につくられる「木の保育園」、しばらく現場の状況をお伝えできておりませんでした。一時材料手配の関係で待ち時間がありましがが、また木工事が再開。今日は現場で現場管理担当、そして職人さん方と打合せです。

 

 

 

今は主に大工さんが床の無垢板材を張っていってくれています。今日はその次の段階の打合せで、造付家具の職人さん、そして建具屋さんが来てくださり、現状を把握しながら次をどうつくるか、詳細な寸法や納まりを話し合う時間でした。

 

 

 

建築工事は、その時々にメインで動く職方さんはありますが、基本的には様々な職種が錯綜しながらつくりあげていくもの。そのいくつもの職種の作業をとりまとめ、時間的にもモノとしても、一つに収束させていくのが工務店の志事です。

 

 

 

この木の保育園には、ひとつの空間を時と場合によって2つに仕切る「スライドパーティション」が設置される予定。ホテルの宴会場ほど大掛かりでなく、でも見た目は他の建具と変わらず、収納時には目立たないものを目指しています。

 

 

 

そのスライドパーティションをつくるのは建具屋さん、そしてその収納するハコ(戸袋)をつくるのは家具屋さん、レールの下地や戸当りなどを付けてくれるのは大工さん。その三者の志事がうまくいかないと、目指したものになりません。

 

 

 

その寸法、納まりを、私が描いた図面を元にして、侃々諤々の議論で詰めていきます。いつも思いますが、それぞれの職種が大事にする部分も少しずつ違うし、それぞれの職種ならではの知恵があって、皆がどんどん主張するほうが面白い。

 

 

 

結果、時には図面と大きく変わることもあります。すなわち、私が教えられることの方が多い。でも図面が全てではないし、結果的に上手く使えて見た目も好ましいように着地すればいいわけで、そこを柔軟に考えることがとても大切。

 

 

 

今日はそんなに大きな施工の変更はなかったとはいえ、やはり建具屋さんから私や現場監督も気付かなかった知見が聞け、「なるほど!」となることが。私も永くこうして職人さんと話をしながらやってきていますが、それでもこうです。

 

 

 

やはり、机上で3次元空間を考える人間は、実際に工房や現場で手仕事を続けてきたその手とその頭には、敵わない部分が絶対的にあります。そこで我を張らず、謙虚にその手仕事の間に立って己の考えを見直す方が結果的には得策かと。

 

 

 

今回はそのスライドパーティションや、木製のインナーサッシなど、面白い建具が色々あります。それを上手く納めて見た目と使い勝手を向上させるべく話し合う時間はとても楽しく、私にとってはエキサイティングと言っていいでしょう。

 

 

 

設計という志事は、施工と分離しているから意味がある。しかし施工を知らずには設計はできません。施工のことを知っていて、なおかつ施工者が「安易な仕事」をせず一所懸命に智慧を出してつくろうとする、そんな設計が理想ですね。

 

 

 

今日もそんな一コマがあって、やはり現場打合せは面白い。コンクリートの中の木の保育園は、床が張り終わればその上の構築物へと進み、これからぐっと形を現してくる段階。手仕事の狭間でどれだけ私らしさを出すか、勝負は続きます。