無作為をつくる

2018.1.13|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 KJWORKS

 

〈時代を経た味わいと荒っぽい風合いが保育園の顔になります。〉

 

 

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

 

 

鉄筋コンクリート建築の「木の保育園」、着々と出来上がりつつあります。内部は石膏ボードの上に仕上げのローラー漆喰が施工中、そして共用廊下側の外壁も仕上がってきました。冒頭の写真がその様子、今日はその材料のお話を少し。

 

 

 

この外壁の仕上げは上下2つに分かれていて、下半分が板張り、上半分が左官の仕上げになっています。写真はその下半分の板張りの様子ですが、かなり板に色むらがありますね。そしてサイズも何だかずいぶんバラバラな感じですよ。

 

 

 

この板はいわゆる「古材」です。元々は別の用途に使われていたものを再利用し、そこに刻まれた時間による味わいを愉しむという趣向のものですね。そしてこの板の元々の用途はと言えば、それは工事現場で使われる「足場板」なんです。

 

 

 

板そのものも時代を経て色合いも肌合いも変化し、かなりラフな感じになってきています。そしてまた、足場板という性格上、そこにはセメントの飛沫や塗料の跡などの使用の痕跡が刻まれて、その荒っぽい持ち味にさらに拍車をかける。

 

 

 

その、言ってみればかなりワイルドな感じこそが今回のテーマだったのでした。最近は店舗などにもこうした味わい深い材料が使われるようになってきていますが、保育園の外壁として張られる事例はまだあまり無いのではないでしょうか。

 

 

 

使用にあたって、板材の幅は揃えていますが、その長さも、色合いも、使用の痕跡のばらつき具合も、全てをあえてランダムな感じにして張っています。というか、一枚一枚の個性が違いすぎて、そのようにしか張れないとも言えますが。

 

 

 

そのランダムな感じ、ばらついた感じ、荒っぽい感じが、普段はなるべく均一な材料を、という意識で素材使いをする私にも非常に新鮮です。そして板の上からの塗装も今回は無し。あくまでもラフな仕上がりを楽しむことに徹しよう、と。

 

 

 

また、こういうものは図面で指定できるものではないし、一枚一枚を全て決めることも難しい。実際に張ってくれる大工さんに「ランダム感を大事にしてね」とお願いして、あとはある程度お任せでお願いするしかなく、それがまた面白い。

 

 

 

こういう類のラフな仕上げには、なるべく「作為」が感じられないほうがいいですね。むしろあまり細かく考えることなく、それこそ無作為な感じで手に取り張っていくくらいの方がよいのでしょう。作為的に無作為をつくる、というか。

 

 

 

そして出来上がった足場板古材の壁、なかなか良い雰囲気です。こういう材料は大量にはないことが多いので、今回はRC建築内ということで外壁をつくる面積がとても少なかったというのも、この珍しい材料を使うチャンスだったのでした。

 

 

 

こうしてちょっと他にない個性的な外観をもつことになった「木の保育園」。今月末の竣工に向けての追い込み、最後まで気を抜かず走っていきましょう。皆さんにその全貌をお見せできるのがとても楽しみな私です。