ものづくりの息吹

2014.7.13|カテゴリー「読書つれづれ」|投稿者 山口敏広

2014-07-13 09.08.31

『根付今昔』  緑青第4号  マリア書房

 

ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。

 

ひと月ほど前、京都の清水三年坂美術館で、「超細密根付展」を見ました。展示されていた森田藻己はじめ名人たちの至芸に圧倒され、ますます根付(ねつけ)に興味津々、ということで入手した一冊です。

 

素晴らしい作品たちの画像がたくさん載っている、いわゆるビジュアル本というものですね。個々の作品たちを観ているだけで充分楽しい本ですが、私には他にも色々と学ぶところがありました。

 

本書では、5つの時代区分で、根付の変遷を論じています。江戸Ⅰ、江戸Ⅱ、近代、現代Ⅰ、現代Ⅱ、ですが、それぞれの時代に素晴らしい根付師がおり、現代にも脈々とその技術は受け継がれている。そのことにまず驚きましたね。

 

そして、先日の展覧会で森田藻己という明治の大名人を知りましたが、この本では昭和の大名人、中村雅俊というひとを知りました。著名な俳優さんと同じお名前ですが、根付の世界では知らぬ者のない名人、現代根付の先駆者だそうです。

 

雅俊作の根付は、藻己の木材に対して、主に象牙です。超精密な細工はもちろん、その造形、デザインの力に、ただただ唸るばかり。これは更に興味が湧いてきましたよ。

 

もっと調べてみたくなりましたが、まずは、本書を楽しみましょう。たくさんの作品たちを、そんな時代区分別ではなく、ごちゃまぜにして制作テーマ別に並べて見せてくれているのが、嬉しいところ。

 

江戸、近代、現代。それぞれに特徴があり、その共通点、そして違いを味わいつつ観ていると、実に面白い。どれも実物を観てみたいと思うし、本当はひとつ自分も欲しいところ。携帯に付けておきたい気分ですが、でも、我慢、我慢です(笑)。

 

どの時代の作者も、恐るべき集中力とインスピレーションを駆使して、目の前の素材から自分の意図する形を掘り出していったに違いありません。それがそれぞれの仕事から伝わってくるようです。

 

つくるもののサイズはずいぶん違えども、私も同じものづくりを生業とするものです。根付師たちの熱い熱い「ものづくりの息吹」から、創作の力を分けてもらえるような、そんな元気になる本でした。