シンメトリーの妙

2014.7.11|カテゴリー「読書つれづれ」|投稿者 山口敏広

グランドブダペストホテル

『グランド・ブダペスト・ホテル』   脚本・監督 ウェス・アンダーソン

 

ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。

 

いやあ、観てきましたよ。『グランド・ブダペスト・ホテル』。以前「WOOD JOB!」を観に行った時に、その予告編や館内に貼ってあったポスターなどで、とても興味をそそられていた映画でした。

 

その後、Facebookなどでも「よかった!」の声があちこちで挙がっているのを見て、もう矢も盾もたまらず映画館へGO!でした(笑)。製作・脚本・監督のウェス・アンダーソン氏のことは知りませんでしたが、とても惹かれたんですね、そのビジュアルに。

 

行く前に色々と評判をチェックしてみると、アンダーソン監督はやはり独特の美意識をもち、一貫して独自の映像づくりをしてきておられる様子。今回その「集大成」との呼び声も高い本作、その出来に私も唸ってしまったのです。

 

ネタバレとなるストーリー紹介はいたしませんが、ある架空の国家、ズブロフカ共和国の同ホテルが舞台となる物語も非常に面白く、最後まで息つく暇なく魅せられます。しかもその映像たるや、とにかく今まで見たことがないものでした。

 

三つの時代を扱っているのですが、それぞれに色彩のトーンも考えられています。そして、何というか、シリアスなのにユーモラス、という感じの雰囲気が全体に流れているんですね。そしてその一貫した独自の画面。

 

最近、実景の写真なのにジオラマ模型に見える、というものがありますが、そんな雰囲気を漂わせる場面があちこちに。リアルとファンタジーを行ったり来たりしながら進んでいくような、とても不思議な感覚です。

 

その中でも監督の一番のこだわりは「構図」でしょう。とにかく左右対称の映像が多い。ホテルやお城や監獄など、色んな建物内部の場面がありますが、そのシンメトリー性は徹底しています。

 

冒頭の写真はホテルの階段踊り場にあるコンシェルジュなのですが、こういう感じの画面が映画の大半を占めるのです。これがまたこの物語に合う。これには、監督のすさまじいまでのこだわりを感じましたね。

 

構図だけでなく、衣装や小道具、美術品などなど、細部にまで美意識が追求されている感じも受けました。そして、キャストもかなり凝っている。そういった監督による「仕掛け」をもっと楽しむには、一回観ただけでは足りないなあ。それが素直な私の感想であります。

 

観終わってふと思ったのですが、もしかしたら画面だけでなく、物語の時代的な構成においても、最初と最後が現代の同じ場所、というシンメトリーを監督は意識していたのかもしれませんね。

 

そんな、隅々まで張り巡らされ、埋め込まれた仕掛けがいっぱい。じっくりとそれらをなぞりつつ、何度も何度も楽しめる傑作だと感じました。