若者と山の神

2014.5.16|カテゴリー「読書つれづれ」|投稿者 山口敏広

woodjob

『WOOD JOB!(ウッジョブ!)』   原作:三浦しをん  監督・脚本:矢口史靖  東宝系ロードショー中

 

ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。

 

ようやく観ることができました、「WOOD JOB!」。先日チラシをくらしの杜のあちこちに置いたのですが、なかなか時間がとれなくて。でも早く観たいので、昨日の夜、レイトショーに行ってきましたよ。

 

公開されたばかりの映画ですから、今回もあまりネタバレはしないようにしましょう。でも、先日このブログに書いたように、これは「林業」の映画です。それも、ある若者と林業の関わりを描いた映画です。

 

私も、木の家づくりを志事とする中で、あちこちの森に入らせていただいたことがあります。奈良の吉野、土佐の池川、熊本の小国など。そしてそこで杣人(そまびと)たちが働いているところを見せていただいたり、杉の苗を一緒に植えたりもしましたね。

 

でも、ほんの少しの時間を体験するのと、それを生業(なりわい)とするのとは、わけが違います。林業という志事の厳しさ、危なさ、そして大自然というものの怖さが、この映画にはしっかりと描かれていました。

 

しかし、それを補って余りあるほどの「森の志事」の魅力もまた、同じく描かれています。曾祖父さんが植えた樹を材木にし、そして曾孫のために、新しい樹を植える。そんな永いタイムスパンの志事であることの素晴らしさも。

 

それは非常にロマン溢れるお話です。しかしそれを実現するための、永い時間を見据えた森林管理というものの難しさもまた、一般の方よりも少し林業に近いところにいる私には、改めて感じられた次第。

 

私が嬉しかったのは、「山の神への信仰」がこの映画のひとつの鍵になっていたところ。主人公が少し触れることができた山の神の霊力、森に入ったことのある方は、その存在を信じることができるでしょう。

 

危険で過酷な林業という志事は、山の神の御加護のもとでおこなわれる。その芯の部分は悠久の昔から、そして現代でも、変わらないはず。それをこの映画は、観る人に教えてくれます。

 

ラスト近いシーンで、主人公は街にいます。そして、あるものの存在に気づきます。それに気づくことが、彼の成長の証なのですが、そこで私は、恥ずかしながら涙を禁じえませんでした。

 

森でおこなわれる志事、永い永い時間を相手にする志事。その営みがあるからこそ、私自身の木の家づくりという志事も成り立っています。私にとっては、そのありがたみを再確認できる映画でもありましたね。

 

是非みなさん、この「WOOD JOB!」を映画館で楽しんでください。そしてその「山の神とともにある志事」と、それがこの若者をどう変貌させたか、緑の美しい映像とともに、じっくり味わってみてくださいませ。