心のなかの軸

2014.6.16|カテゴリー「読書つれづれ」|投稿者 山口敏広

2014-06-16 10.38.33

『節約の王道』   林望 著   日経プレミアシリーズ

 

ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。

 

リンボウ先生こと林望氏の著書、以前ここに「インテリジェンスの営為」と題して書いた本、『リンボウ先生の〈超〉低脂肪なる生活』につづいて二冊目の登場です。

 

実はここに至るまで、氏の料理関係の本を3冊ほど読んでいるのですが、その料理哲学の中にも「無駄をしない」という一本の芯が通っていました。そこに共感していたところへ本書の存在を知り、「食」以外にはどういうことを考えておられるのか、それを知りたくて早速ゲットです。

 

ネタバレとなる内容の詳細は書きませんが、それぞれの小節のタイトルがとても面白いので、今回はそれをご紹介していくかたちを採りましょう。

 

まずしょっぱなに、「節約は引き算ではなく、足し算である」と来ます。ここは一部引用しましょう。本書の大きなコンセプトが述べられていますから。

 

”生活の無駄を省くことはは、人生の楽しみを損なうこととは違います。ものの見方や捉え方を少し変えるだけで、お金の無駄をなくすだけでなく、健康にもつながり、家族との絆も深まる、そのような足し算の節約論を提案できればと思うのです。”

 

これは、この本や今まで読んだ料理の本も含め、著者の生活全体を貫くコンセプトなのだと感じます。あとの各節はその具体的内容ですが、これがかなり細かくて、魅力的、かつ過激です(笑)。

 

いわく、「冷蔵庫に、食費を管理させる」、「現金をおろすときは『三万四千円』」、「プレゼントはしない・もらわない」、「派手な儀式ほど愚かなものはない」、「車は『年収の一カ月分』の価格のものを買う」など。読むとどれも、なるほどなあ、と思うのですよ。

 

私が本書を買う時に期待した「住まい」の章もちゃんとありました。そこにはサブタイトルとしてこうありました。「自分の軸を揺るがすな」と。内容は氏の好みもあるので一概に賛成はできませんが、この「自分の軸」ということに関しては、私も大賛成です。

 

また、「教育」の章のサブタイトルは、「人生最大の投資と捉えよ」です。この章に書かれていることも、氏の人生観を如実に表していて、とても興味深い。

 

ちなみに、別の章ではありますが、こういう文章があります。” 私は親からお金を人前で出すのは卑しいことだという教育を受けて、それが完全に染み付いている(後略)”と。こういう教育が氏のものの考え方を育んだのだと、その原点を見たような気がしましたね。

 

本書の最後の小節、そのタイトルはこうです。「死から逆算して、将来プランをたてる」。リンボウ先生のすべての行動は、後悔せずに死ぬための「Do my best」なのですね。

 

とにかくそのベストを追い求める姿勢が尋常ではない。正直言って、かなり極端です。でも、その極端さがとても面白いし、爽快な読後感と元気をもらえる理由だと思うのです。

 

本書の裏表紙にある推薦文には「生活防衛時代の必読書」とあります。でも、そうではありません。この本は、自分を見失いがちな現代人に、ひとつの大きな「心のなかの軸」を示してくれる本です。