本と生きる

2014.8.18|カテゴリー「読書つれづれ」|投稿者 山口敏広

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『本の運命』   井上ひさし 著   文春文庫

 

ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。

 

今日は本についての本をご紹介しましょう。それも、井上ひさしによる一冊。氏を知る人ならば、それだけでワクワクしてくるはずです。

 

井上ひさし氏と言えば、とにかく本好きで知られた人物です。その蔵書の数はなんと十三万冊。そして、自分の蔵書で故郷に図書館をつくった、と言えば、その凄さが伝わりますでしょうか。

 

私自身は氏の小説や戯曲をあまり多くは読んでいません。でも「吉里吉里人」は私の読書歴の中でも十指に入るほど面白い小説でした。日本語に吉里吉里語(=ズーズー弁)のルビが振ってあるというこの物語、読み出したら止まらない一冊でしたね。

 

その井上ひさしが自らの人生で数限りなく読破してきた本たち。子供の頃の本との出会いから始まり、人生のいくつもの場面での本をめぐるさまざまなエピソードや、その楽しみ方の極意なども書かれています。

 

本と共に生きてきた氏が語る、本の魅力。そこには遠く及びませんが、一応本好きの端くれである私にとっては、その言葉は非常に含蓄のある、深い悟りを聞いているような喜びでした。

 

「蔵書のほうが持主より行動力がある」とか、「本のほうが自分を執念深く付け回している」といった表現も出てきます。本と人との運命の交わりには、本当に不思議な目に見えない力が働いている。

 

氏は自らの体験から、そう言っているのですね。そこには十三万冊を読んだ人だからこその重みがあり、読んでいる私の胸を打つのです。本が好きという方には、「必読」と言っていい素晴らしい一冊だと感じました。

 

なお、本書には「井上流本の読み方十箇条」というのが出てきます。そこで私の眼から鱗を落としてくれたのが、次の一条。その意味、皆さんも想像してみてくださいませ。

「本は、ゆっくり読むと、早く読める」