観かた・読みかた

2015.1.23|カテゴリー「読書つれづれ」|投稿者 山口敏広

2015-01-22 13.03.44

『見仏記』    いとうせいこう みうらじゅん 共著    角川文庫

 

ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。

 

このブログでの書評、少し間が空いてしまいました。読み終えて書くべき本が溜まってきてしまっております。しばし頻繁にアップしていくやもしれません。でも、日々書きたいことも色々あるしなぁ(笑)。

 

本書は芦屋K.J.文庫にご寄贈いただいたものです。これ一冊ではなく、第4巻まで揃っていて、順に読んでいきつつあるシリーズ。タイトルにある通り、仏像を訪ねて歩く著者お二人の道中記となっています。

 

私は漫画家みうらじゅん氏の作品を全く知りませんが、氏による本書の挿絵には既視感を覚えました。昔、ファッション誌などで見たのかもしれません。小学生の頃よりの仏像ファン、なのだとか。

 

みうら氏がいとう氏を伴って各地の仏像、本書での表現で言うと「仏(ブツ)」を観て回るのですが、やはり筋金入りの仏像マニア、その観方や捉え方が普通ではありません。

 

「仏像たちはミュージシャンである。彼らは極楽浄土からやってきて、お堂でコンサートを開いている。彼らはみなスーパースターで、老若男女の心をつかんで離さない。」これを読んで、私ははたと膝を打ちましたね。

 

また、仏像に足を向けて寝っ転がり、その迫力を感じつつ観るのがみうら流であったり、その独特な「見仏」の思想と方法に、かなりの刺激を受けること請け合いです。

 

しかしまた、そういうフザケた感じを漂わせつつも、本書はかなり重要なテーマにも触れていて、それも面白い。あまりネタバレはいけませんが、ひとつは「中央から辺境への仏像デザインの伝播について」、そして「仏像拝観はいつから観光になったか」。

 

前者は古の文化の拡散についての、後者は近代の宗教観の変化とも絡む、ともに興味をそそられる話です。本書ではもちろん、著者二人の推測が語られるのみですが、それもまた興味深く楽しめました。

 

この四冊中の一冊目を、私は最初電車の中で読み始めたんです。しかしすぐに、それはよくない読み方だと気づきました。本書には挿絵のみで写真がなく、話に出てくる仏像がどんなものかが、わからないのですね。

 

この本はPCの前に座って、採り上げられたブツたちの姿を検索画像か何かで見ながら読み進めると、よりその面白さが味わえるでしょう。仏の観方の本には、それ相応の読み方があるというわけですね。

 

もちろん、一番よいのはその見仏道中を自らなぞってみつつ読む、それに違いありません。私もまた、この本によってもたらされた新しい眼をもって、奈良や京都へ行ってみたくなりました。