道端の四季

2014.3.20|カテゴリー「読書つれづれ」|投稿者 山口敏広

2014-03-20 10.35.53_R

『草手帖』   かわしまよう子 著   ポプラ社

 

ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。

 

これは雑草の本です。いわゆる「図鑑」ではありませんが、でも色んな雑草を採り上げて、その図鑑的な面をふくめた話が、それぞれにエッセイとして描かれている、そんな本です。

 

私も植物が好きですが、ごく普通に道端に咲いている花が何という名か、案外知らないものです。逆に名前は知っていても、それがどんな草、どんな花か知らない、ということも多いですね。

 

例えば春の七草。「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ、これぞ七草」と言いますが、これを口にしながら、その姿が全て思い浮かぶ人はいまや少数派なのでは?私も含めて、そんな方に読んでいただきたい一冊です。

 

オオイヌノフグリ、シロツメグサ、ヘビイチゴ、カタバミ、ゲンノショウコ、カヤツリグサ、などなど、全部で40の雑草の姿が紹介され、著者の思い入れ溢れる文章で飾られていて、楽しく読み進められます。

 

表紙はナズナ。春の七草のひとつです。この姿は皆さんよくご存知でしょう。道端でかわいらしく春を彩る花、別名ぺんぺん草、ですね。でも私は、なぜこの草がぺんぺん草なのか、本書を読むまで知りませんでした。

 

写真にも写っていますが、花が咲いた後に出来るハート形の「さや」が、三味線のバチに似ているから、なんだそうです。三味線のバチだから、ぺんぺん。なるほどなあ。面白いですね。

 

また、春の七草としていただく時は、まだ花が出る前、タンポポに似た葉だけの時に、それを摘み取っていただくのだそうです。そういう昔の人があたり前におこなってきたことを、現代人はたくさん失っている。そんなことも感じさせられます。

 

本書のまえがきに、著者の想いがこう書かかれています。「雑草とは四季の変化をダイレクトに感じとる“花”。名前をおぼえ、生活にとり入れ、四季の移り変わりを肌で感じてもらえると嬉しいです。」

 

本書はまさに、そういう効用の一冊。おりおりの雑草と親しむことで、なお日本の四季を楽しめる、そんな素敵な入門書だと言えましょう。

 

 

※ちなみにナズナについては、その名前の由来も書かれていました。これがまた良いエピソードなんです。是非本書をご一読し、ほのぼのとしていただきたいですね。