いまはなき硝子

2013.10.13|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

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ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。

 

まずは冒頭の写真をご覧ください。窓らしきもの、その向こうの景色がまるで「光の粒による点描画」のようではありませんか。とても美しく、見ていると惚れ惚れとしてしまいますね。

 

この素敵な見え方は、この窓に嵌っているガラスの効果によるものです。多角形の小さなガラスが寄り集まって出来たような、今では見ることのない、どこかレトロで、どこか新しい雰囲気のガラスです。

 

このガラス、実は建替えをされるお客さまの家づくりで、解体する元の家で撮影したものなんです。つくられたのは昭和30年代と思われるそのお宅には、今では手に入らないレトロなガラスが、あちこちに使われていたのですね。

 

担当の大村くんと二人、解体初日のその家から、ある意味とても貴重なこのガラスたちを、救出してきたというわけなのでした。全部は無理でしたが、主要なものをセレクトして、解体業者さんが手を入れる前に。ギリギリセーフ、という感じで救出完了!

 

冒頭の写真のものは、その中でも非常に美しく、これは絶対に新しい家でどこかに使わねば!と感じた次第です。このような様々な模様の入ったガラスは「型ガラス」と呼ばれるのですが、このような昔のガラスは、今はもうつくられていないのですから。

 

型ガラスは、その名の通り「型」の上に溶けたガラスを流し込んでつくります。この「型」が、日本から海外に流出してしまって、非常に数が少なくなっているんです。現在「型ガラス」と言えば、平凡なザラザラ模様の一手しかないという、嘆かわしい状況です。

 

ですから、せっかく家とともに生き延びたその貴重で美しい型ガラスたちは、解体してしまうのはあまりに惜しい。新しい家に活かしてやりたい。そう強く思うんですね。

 

救出したこの素敵なガラス、さあ、どこに使いましょうか。サッシには使いづらいので、室内の引戸など、建具に嵌め込むという方法がKJWORKSではよく使われます。今回もそうするか、あるいは…?

 

いずれの方法にせよ、これを新しい家の一部に溶けこませることは、とても価値があることですね。貴重なガラスをもう一度活かすという意味でも、そしてお客さまの想い出が、また新しい家で生き続ける、という意味でも。

 

想い出のつまった元のわが家。その記憶がこのガラスにも宿っているはず。新しい家でこのガラスを通した光は、お客さまには我々以上に輝いて感じられるに違いありません。

 

その輝きを、その楽しみをご提供できることこそが、よりよき暮らしの実現を担って志事をさせていただく私たちの、心からの歓びなんです。