この家の想い出

2013.7.25|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

 

ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。

 

今日は建替えをご計画のお客さまのところへお伺いし、プランと概算見積書を提出、打合せをしてきました。普段は別のところに住んでおられるお客さまと私、そして今日は、解体業者さんにも査定のために来ていただくことにして、今回建て替える家に集合しての打合せです。

 

プランは一度事前にご提案しているので、今日は再確認程度。建設費についても、お聞きしていたご予算にほぼ納まる内容でしたので、特に問題なし。次回、設計契約の締結と相成りました!

 

今は別の場所に住まわれているお客さまですが、今日は久しぶりにこの家に入って、あちこち見回したあと、遠慮がちに、私に尋ねられました。「あの、この部屋の床柱とか、欄間なんかを、新しい家に使ったりすることって、できるんですか?」

 

私の答えは、当然こうです。「もちろんですよ!私からも提案しようと思ってました。是非やりましょう!!」

 

今は住んでいないといっても、ご結婚されてから長い間、ご主人と一緒に暮らしてこられたこの家には想い出がたくさんあるはず。いざ解体、建替えとなると、それが頭に蘇るのでしょう。私がすんなりOKしたので、ちょっと驚いて、その後満面の笑顔を見せて下さいました。

 

冒頭の写真が、この家の居間にあった欄間です。あまりゴテゴテしたものでなく、スッキリしたデザインですね。上部に少し空きをとり、漆塗りの横棒がスッと通って、その下の板に、シンプルな松竹梅の図柄が抜かれています。

 

これは本当に、お客さまからお話がなくても私から再利用をご提案したと思われる、なかなか良いモノだと思いました。さあ、この欄間を今度の新しい木想家に、どう使おうか。

 

建替え前の家は、モジュールが昔の「本間(ほんけん)」になっていました。本間の「半間(はんげん)」は985ミリ。この欄間はその1.5倍の寸法が、2枚あります。

 

比べて、今の木造住宅のモジュールでは、半間は910ミリです。ですから、985ミリ×3つ分の寸法をもつこの欄間を、そのまま同じ条件で使うことは、難しいんですね。

 

それはわかっているのですが、でもやっぱり、「想い出を次の家につなぐ」ということは、そんなことで諦めるべきことではありませんよね。先日も書いた「心の価値」は、他に代えがたいものです。

 

このお客さま、Tsさんは、私の母と同世代です。長い長い想い出が染み込んだこの家、この欄間なんですから。

 

再利用法についてはこれから検討開始ですが、今日はお客さまのとても嬉しそうなお顔に、なんだか親孝行をしたような気になって、私もちょっとジーンとしてしまったのでした。