ねじとねじ回し

2013.4.21|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

『ねじとねじ回し -この先年で最高の発明を回る物語-』 ヴィトルト・リプチンスキ著 早川書房

 

ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。

 

著者はペンシルバニア大学で都市学を教えている人物。氏に、20世紀の最後に掲載されるあるエッセイの依頼があったところから、このお話は始まります。

 

そのエッセイのテーマは「この1000年間に発明された最高の道具は何か」というもの。それを求める試行錯誤の末に、著者がたどりついた答えが、「ねじとねじ回し」だったというのですね。

 

ヨーロッパでは、15世紀後半の記録には既にねじが登場しているそうです。その頃から存在していたねじは、しかし精度がよくない割に値段の高いものだったのだとか。

 

それが、徐々に精度の高いねじが登場し、機械加工による小さく精密なねじが表れます。「ものを組み立てる」ということに非常に役立つ「ねじ機構」は、その精度が向上し、その緻密さが高まれば高まるほど、精密な機械をつくることができ、それはそのまま、近代技術の爆発的な発展の「隠れた原動力」になった。本書ではそう描かれています。

 

確かに、回転運動を推進力に変え、しかも表面積が大きくなって摩擦力が高まり、抜けにくくなるという「ねじ機構」は、ものづくりには大変便利なものです。もしそれがなかったら、と考えると、その重要性がわかりますね。

 

家づくりにもたくさんの「ビス」が出てきます。そのこともあって、私は本書を手にとってみることにしたのですが、やはり面白い。ねじの進化がものづくりの精度を高め、それが産業革命を生んだなんて、とてもロマンを感じます。

 

自分たちが日々あたり前に使っているもの。その起源を探るような書物は、惰性的にものごとを見ている目から鱗を落としてくれますね。これは、ものづくりに携わる人にそういう効果をもたらす、良書だと思います。