クロガネの声

2015.9.15|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

2015-09-15 13.26.52

〈岐阜へきています。来ないとわからない、違うカテゴリーの素材によるものづくりを体験するために。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。

 

今日と明日、岐阜にいます。KJWORKS阪神の研修出張という名の気ままな一人旅で、かねてから見たかったものを見て回る二日間。初日のお目当ては、鉄製品の雄、岐阜県関市の杉山製作所さんです。

 

KJWORKSの木の家を好きになってくださる方の多くは、杉山製作所さんが扱っておられる「鉄グッズ」もお好きな方が多いし、私もその質感のバランスから、木と鉄のマッチングにとても興味があります。

 

以前から杉山製作所さんの鉄製品はKJWORKS本社にも展示してあったりするのですが、今回は新製品を含めた「Factory展」を開催しておられるということをお聞きし、これは行って見るしかない、というわけ。

 

朝から芦屋を出て三時間。久しぶりのご訪問です。今日はあらかじめ島田社長にアポイントをお願いしていて、色々と展示と工場内をご案内いただきました。

 

私は、ずっと木の家をつくってきておりますので、木による「ものづくり」の結果については、どこがポイントで、どこに苦労しているか、その製品の特色というものが、だいたい分かるつもりです。

 

しかし、杉山製作所さんの鉄製品は、そうはいきません。その見た目の素晴らしさはわかりますが、木工との強度の違い、素材のもつ特性の違いがありますので、その出来上がったモノの裏側にある「過程」を肌で感じることができにくい。

 

そしてそれこそが、私が今日三時間をかけて関市へと訪れる理由なんです。カタログに載っている素敵なアイアンの製品群を見て「うわあ、いいなあ」というのは簡単ですが、そこに隠されている技術や実現への苦労話こそが、本当は大切ですから。

 

冒頭の写真は、古美た(ふるびた)感じに見える杉材と鉄製品とのコラボレーションのシリーズ。この質感の素敵なバランスはどうでしょう。木と鉄とマッチングについて、杉山製作所さんとは、「言わずともわかる」感覚を共有しているのを感じます。

 

そして別のシリーズはこんな感じ。こちらはまた違う楽しさですね。

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ここに来ていつも想うのが、私が敬慕する巨匠、ルイス・カーンが遺した言葉です。それはこういうもの。

「素材に『何をして欲しいのか』と聴くことだ。それが煉瓦なら『アーチになりたい』と言うだろう。」

 

煉瓦を使った組積造で建築物をつくるとき、窓という開口部をつくるのに、最も理にかなった方法が、アーチなのです。そのことをカーンは、素材に聴け、と表現したのですね。

 

私自身は木材という素材の声を聴くことをいつも心していますし、それと全く同じくして、杉山製作所の島田社長はじめスタッフの皆さんは、鉄の声、クロガネの声を聴いて、それに相応しいかたちをもったモノづくりをしようとしている。

 

その声を聴いて、それを試してみて問題点を見出し、試行錯誤してそれを克服し、しかもその苦闘を感じさせないカタチに着地させる。その過程は、カタログからは絶対に伝わりません。会って、つくり手の声を聞くことからしか。

 

今日は島田社長のお声をとおして、ここで素材から製品に生まれ変わるクロガネの声を聴いてきました。それをまた、自分の言葉でお客さまにお伝えする時、素材の声は島田さんの「想い」と共鳴しながら、まっすぐに伝わっていくと思います。

 

あたり前のことですが、ものづくりとはすべからく、「人による、素材を使った、ものづくり」です。そこに人の想い、素材の声が乗っかっているかどうかが、ものづくりの肝。

 

今日は久しぶりに鉄の手ざわりを楽しみながら、木と鉄という違いを超えた、そんな同じ境地を感じる時間でした。島田社長、どうもありがとうございました。