ノキと四季

2015.9.6|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

電線ナシ外観

〈並行して進む家づくりで、偶然同じご要望について、それぞれのお客さまにお話していました。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。

 

いま、私が担当させていただいている新しい家づくりが何軒か、続いて動き始めています。先月に2軒の木想家の実施設計がスタート、そして今月もまた、新しい木の家づくりの詳細な打合せが始まりそうです。

 

そして、偶然ですが、その3つの家のお客さまそれぞれから、同じことをお聞きしましたので、今日はそのことについて書いてみようと思います。それは、「軒の出」について、なんです。

 

お客さまから尋ねられたのは、「軒をもっと大きく出せないか」という意味合いのお話。バルコニーなどの屋外空間に、雨がかからないように。あるいは洗濯物を干せるように、といった感じ。

 

軒はしっかりと深く出ていたほうが、私もいいと思います。雨だけでなく、夏には陰をつくって、日差しをしっかりと遮る効果もありますから。しかし、いわゆる「軒」として、支えなしで出せる寸法には限りがあります。

 

あまり出し過ぎると、日常は特に問題がなくても、例えば台風の時に下から巻き上げるような暴風になった時など、非常に危険ですね。もちろん構造と合わせて考えるべき話ですが、いくらでも出せる、というものではありません。

 

また、ガチガチに強固な軒をつくったとしても、あまり出し過ぎると、冬にもお日様の光が部屋に入りにくくなってしまう。やはり、ちょうどいいバランスというものがあるんですね。

 

だったら、透明な素材で、しかも柱で支えながら、いっぱいに出せばいいんじゃないか。そうすれば、雨もかからず、明るさも維持できる。そういう考え方もあると思いますし、現にそういう解決法で「雨天物干場」としてつくったこともあります。

 

ただ、私個人の意見は、その下が物干場ならば別ですが、デッキやバルコニーデッキといった「屋外を楽しむ」場所なら、春や秋の気候のいい時期には、外の空気と太陽をいっぱいに満喫できる方がいいと思います。透明な樹脂の屋根の下よりも、青空の下で。

 

冒頭の写真は、ある木想家の外観です。途中で45度のナナメのラインが出てくるプランですので、屋根の構成も複雑ですね。でもそれぞれの場所で、それに相応しい軒の出になるようにし、軒が出せないところは窓の直上に深めの庇を設けるようにしています。

 

四季をもつこの国では、屋根の軒ひとつといっても、それぞれの季節、そして梅雨や台風といった気象条件も含め、色んなことを考えてその寸法を検討しないといけない、そういうことなんですね。

 

そういったことをそれぞれのお客さまにお話しました。これから、それぞれの違ったプランで、それぞれに相応しい軒の出を検討しますが、注文住宅という「世界にひとつの家づくり」では、当然のことながら家ごとに違う答えが出てきます。

 

でお、そこにあるのは、いつも同じ理(ことわり)。その場所の気候風土に合っていること。そして住まわれるご家族に合っていること。いくつも並行した家づくりで、それを考え比べるというのもまた、つくり手の楽しみだったりするのです。