バランスの妙

2013.9.26|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

 

ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。

 

昨日のことになりますが、兵庫県芦屋市にある無垢の木の家具のお店「J-qualia(ジェイ・クオリア)」さんへと足を伸ばしてきました。主の松下さんと私は、実は同じ高校の一年違い。半年ほど前から、30年近い年月を越えて、親しくおつきあいいただいているんです。

 

お店へは初めての訪問でした。ある程度は事前にわかっていたつもりでしたが、実際に見てそのセンスの良さに正直なところ、脱帽です。ナラやカバ、チーク、ウォールナットといった樹種から出来たテーブル、椅子、小物類がところ狭しと並んでいるのですが、それが全然目障りにならず、うるさくない。

 

冒頭の写真はその一角です。無垢の木の家具類あり、その上に小物もあり、壁には同じ時計が樹種と色違いで9つも並んでいるのに、不思議とスッキリとしていますよね。嫌味なく、木の色の違いを楽しんで買い物ができる感じなんです。

 

松下さん夫妻とも話していたのですが、それはやはり「木とのバランス」を考えているか否か、なのでしょう。この写真で言うと、「壁の左官仕上げ」が大きな役割を果たしています。展示してあるモノとの色や面積のバランスが、とてもいいんですね。

 

写真ではわからないのですが、実はこの左官壁にはうっすらと横に「櫛引き(くしびき)」の筋が走っています。単なる壁ではなく、テクスチュアをもってある程度の存在感を示しながら、たくさん並んでいる無垢の木の家具や小物たちと拮抗している。私にはそれがよく感じられたのでした。

 

いつも思うのですが、お客さまの「木の家が好き」という言葉の中には、実は非常に大きな幅のグラデーションが存在しています。本格的な和風の家もあれば、カントリー調もあり、もっとシャープなデザインの「白っぽい」インテリアあり、と。

 

その中で、このような無垢の木の家具、小物までを揃えていくことを前提とするならば、建築そのものは、あまり「木だらけ」でも具合が悪い。もう少し大人しく、置かれるモノたちにとっての「キャンバス」を意図したほうが、双方が引き立てあう。KJWORKSの家づくりはそういう考え方ですし、J-qualiaさんの店にも同じセンスが強く表れていました。

 

やはり木の家の空間づくりにとって「壁」の仕様は非常に大きな役割をもっているのですね。この壁が例えばビニールクロスでできていたとしたら、置いてある無垢の木の家具、小物のもつ力に負けてしまって、ちっとも楽しくない。バランスが崩れてしまうに違いありません。

 

素材同士の面積の比率、そして「もち味」のバランス。それがうまく実現している空間は、落ち着きをもち、とても自然にそれぞれの良さを楽しめるものです。そのことについて、自分が考えるものと同様のセンスを感じられる店でのひとときは、とても心地よいものでした。

 

その中で松下さんと交わした素材の話、道具の話、そしてデザインの話。どれも刺激的で、彼のもつ力の奥深さを感じさせるに充分なものでした。別の場所で話していたのとはその深みが違います。やはりご自分がつくられた「場」ですから、その想いが店に充満し、言葉になって表れている。そんなことも感じましたね。

 

同じ「無垢の木」をあつかっていても、そのバランス感覚というのは、人によって様々です。自分に近い感覚で「バランスの妙」をもった木の家具のお店、そして同窓でもあり、同じ「暮らし」を見据えておられる頼もしいご主人。

 

今回初めてお店に伺ったことで、なおさら今後のパートナーシップが非常に楽しみになった次第。なんだか旅行前の子どものように胸が高鳴る、今日の私なのであります。