光と色の移ろい

2013.11.17|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

s-写真

 

『たのしい水彩の時間 0からの水彩イラスト』   あべまりえ著   BNN新社

 

ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。

 

私が毎月チラシに描いているのは、無彩色の「線画」なのですが、淡い色合い、色の混じり合いが素敵な「水彩画」も大好きで、正直かなり憧れております。本書は、サブタイトルが示す通り、その入門書なんですね。

 

実は、本書の著者は私の高校の同級生。しばらく前にFacebookつながりでその制作活動、水彩教室などのご活躍を知りました。絵が好きな私としてはかなり興味津々だったところへ、初のご著書が出るということで、早速入手した次第。

 

なんとも可愛らしい水彩イラストが散りばめられた表紙。でも、そのひとつひとつに、プロならではのテクニックが凝らされていることが見てとれます。水彩の大きな特色である「ぼかし」が、とても美しいですね。

 

中は「イメージ編」と「テクニック編」から成っています。まずは水彩というものに慣れるところから、読み進むにつれ、徐々に具体的な方法、技法へと視点が移っていく感じ。イメージ編では、章が「光を感じて描く」「おいしそうに描く」と名付けられたりしていて、とても親しみがもて、すんなりと中へ入っていけます。

 

もちろん色んな技法、高いテクニックについても色々と載っているのですが、それらが実際の制作風景、実際のイラストをたくさん使って表現されていて、ただ見ているだけでも、とても楽しいですね。「気負わず楽しんでほしい、水彩を好きになってほしい」という著者のメッセージが、どのページにも溢れているようです。

 

私が感心したのは、章立ての間に登場するコラム。色の基本の話、補色残像の話、モノの形の見方、などなど、どれもが非常に重要な絵画論でありながら、その説明がとても平易でわかりやすいのです。中でも補色残像の話は「人の心のはたらき」にまで及んでいて、私は思わず膝を打ったのでした。

 

水彩画の特徴は、ふわっとしたその色のゆらぎ、移ろいだと思います。それが魅力的なのは、自然界では常に起こっている光の移り変わり、光によるモノの見え方の変化といった、ただの色や形だけではない「人の眼に、心に感じられているもの」を優しく表現しているからではないでしょうか。

 

本書は、そんな水彩画への、そして何よりそれを「愉しむ時間」への、よき入門書ですね。私も、読んで何やらそわそわしています。「創作意欲をかき立てられる」って、こういうことを言うのでしょうね。