写真にうつらないもの

2013.11.22|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

2013-11-22 11.03.47

 

 

ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。

 

今日は以前からのお約束通り、あるアトリエへとご訪問してきました。それは、先日このブログでご紹介した『たのしい水彩の時間 -0からの水彩イラスト-』の著者、あべまりえ先生のところです。

 

私のブログ記事を読んでくださって、そこに登場するレトロガラス網代天井について、「私も、そういうもののある古い家に住んでいます。よかったら一度」とお誘いを受けていたのでした。

 

それだけでも、古い家の好きな私には興味津々なのですが、メッセージをやりとりしていると、どうもそれだけではないらしい。いわゆる「古民家」というものではなく、建築家の設計による住宅とのことで、さらに興味がつのり、是非にとお願いした次第。

 

彩都・くらしの杜からさほど遠くないお宅とアトリエへ、車検が終わったばかりの愛車で参上しました。先日、高校の同級生と書きましたが、当時はあまり接点がなかったので、ほぼ初対面です。ちょっとドキドキでお邪魔したのでしたが、とても暖かく迎えていただきました。よかった(笑)。

 

アトリエと、そしてお住まいを見せていただき、そしてコーヒーをご馳走になりながら、高校時分の話、お互いの仕事の話、そして素敵な水彩の作品づくりや教室のことなど、話は弾みます。絵や古いものなど、好きなことに共通点も多く、とても楽しい時間だったのです。

 

あの素敵な作品群が生まれる場所であるアトリエは、それ自体がとても優しい、ほんわかとした雰囲気が溢れていて、そこここに作品も飾られていました。ものづくりの場所というのは、そこにいるだけで何だかワクワク、心浮き立つような感じがありますね。

 

お家のほうも、歴史を経た味わいに満ちていました。しかも、きちんとした設計、デザインがなされている箇所があちこちに見受けられます。また、まりえ先生のご家族が、その古い家をリフォームしつつ上手に暮らしておられるその様子が、とても好ましかったのでした。

 

冒頭の写真は、今日私が一番素敵だと思った場所。大きな二方向の窓から気持ちのよい木漏れ日が入ってくる、デスクのあるコーナーです。古くてもモダンな家の雰囲気と、まりえ先生のセンスがうまく溶け合って、そこに素晴らしいお庭の眺め。とても居心地良さそうですね。

 

柱時計、古い足踏みミシンを改造したデスク、照明スタンド、そして飾られているモノたち。どれも「古美る(ふるびる)」ともいうべき価値をもって、そこにあります。そんなセンスをおもちの先生だからこそ、この家を上手に住みこなしているんだなあ、私はそう感じたのでした。

 

建築のヒトなのに、あまり写真を撮らないんやね。今日、まりえ先生にそう言われました。そうですね。さっきのコーナーは木漏れ日を撮りたかったのですが、どちらかというと最近、訪れた家の写真をあまり撮らないのです。あちこち撮っても、大切なものはそこには写らないような気がして。

 

なんというか、家づくりの日々を通じて、家という建物そのものが大事なのではなく、そこでの暮らし、ひとの営みがなにより大切、という感覚に、ようやく私もなれたのかもしれません。それは、写真にはなりませんから。

 

ただの「建築バカ」から、私も少しは進歩したのかな。そんなことを思いつつ、まりえ先生のアトリエとお宅、素敵なお庭のあり方を、そしてその空間に流れているものの重みを、今日はしっかりと心に刻みつけてきたんです。

 

永く住まわれる家には、「写真にうつらないもの」が積み重なっていきます。先々代から始まったその重なりを大切にし、そこにまた自らの暮らしや想いを、さらに重ねていく。

 

そんなこの家とまりえ先生の暮らしぶりは、色を重ねても下の色が消えることなく上の色と響きあう、まさに透明水彩の世界を見るように、私には思われたのであります。