十年の味わい

2015.3.1|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

2015-03-01 15.31.23

 

ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。

 

今日は一日雨でしたね。ちょっと残念な天気でしたが、その中でも予定通り、「住まいと暮らしを体感するバス見学会」が開催され、私も皆さんとご一緒してまいりました。

 

このバス見学会は、いわゆる「完成見学会」ではありません。出来てからそこで暮らしが営まれている家を見学してまわり、そのうち一軒では住まい手さんにも暮らしについてのお話を伺う、というものです。

 

今日は外観見学を2軒まわったあと、ちょうど築10年を迎える木想家にお邪魔しました。私もお伺いするのは1年ぶりくらいでしょうか。私がプラン(間取り)をつくった、ここもまた思い出深いお宅なんですよ。

 

冷たい雨の中を見学してまわってきたご参加の方々のために、住まい手のTさんは、薪ストーブに火を入れて待っていてくださいました。ああ、暖かい。皆さんの顔が一気にほころびます。

 

しばらくお家の中を自由に見学させていただき、10年経った木の家を体感しました。そして最後に、冒頭の写真のように皆で集まってもう一度Tさんのお話を聞き、質疑応答の時間。

 

見学の間も、そして集まってからも、色々な質問が出ていました。それはそうでしょう、家づくりを考えようとしている方々にとって、住まい手の言葉は何よりも参考になるものでしょうから。

 

薪ストーブに関することに加えて、床の無垢板の手入れ、壁の和紙の掃除など、自然素材についてのこと。やはり皆さん、「いいなあ」とは思っても、そういった部分で不安をもってらっしゃるのでしょうね。

 

でも、そこで住まい手のTさんからのお答えは「全然やってないんです」とか、「そんなに難しくないですよ」とか、とても自然体。少々染みがいっても、傷がついても、そんなに気にしなくても大丈夫だった、と。

 

聞いていて思いましたが、皆さん「壁というのは雑巾で拭いて掃除するもの」とか、「床のフローリングにはワックスがけが必須」とか、何だか「そうしなければいけないこと」として捉えてらっしゃるのかもしれません。

 

しかし、自然素材というのはもっと懐の広いものだと、私は思います。傷がいこうが少々汚れようが、それが味になるもの。そんなに「しなければいけない」ことなどない。現に10年経ったTさんの家は、その年月だけの深みが味わいとして感じられるのです。

 

自然素材と、気楽につきあえばいい。木の家に暮らすには、人間ももっと大らかで、自然体でいいんだよ。

 

10年住んだご夫妻がごく普通に語るそんな言葉も、木の家のそのものと同じ、私たちつくり手が百万言費やしても及ばない「説得力」という味わいに満ちて、ご参加の皆さんがたの心に染みこんだに違いありません。

 

自らも不安をもちながら住み始めて、その実際を知った先輩の言葉。それを聴くことのできるこのバス見学会の大きな意義を、きょうもまた改めて感じ入った私でした。