古寺を蔵する

2013.9.20|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

『日本古寺美術全集 全25巻』  集英社

 

ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。

 

先日、「工事の前の工事」と題して解体工事の前の状態をご紹介した、池田の木想家。今日、その解体工事も完了したのですが、そのお宅に最初にお邪魔した時、びっくりさせられたのが、たくさんの立派な蔵書たちでした。

 

文学全集、美術全集、そして写真集などの豪華本たち。どれも年季の入った、お父様のコレクションだったものです。主人をなくしたこれらの蔵書たち、その処遇に、実はお客さまも困っておられたんですね。

 

その中でも、私の目を釘付けにしたのが、写真のモノ。「日本古寺美術全集」と題された、集英社の全集です。「法隆寺と飛鳥の古寺」から始まる、全25巻。素晴らしい写真と解説で編まれた、私たち木造建築に携わる者には、まさに輝く宝石のような価値をもつ豪華本です。

 

その威容に気圧されつつ、お客さまに思わず進言させていただきました。「もしご迷惑でなければ、この全集は、私どもの『木の家づくり図書館』へ、ご寄贈願えませんでしょうか?」と。

 

お客さまも、それが木造の古建築を扱ったものであることはよくご存知で、その価値をわかってくれるところで使ってもらえたら嬉しい、とのお言葉と共に、ご快諾いただきました。ありがたいことです。そして解体初日、ずっしりと思い大著を社にもちかえったというわけなのでした。

 

冒頭の写真は、もちかえって『木の家づくり図書館』の2階に居場所を確保し、25冊を並べたところです。私などは、ここでケースから出して見始めると、ずっと2階に居座ってしまって、自分の席に戻ってこれなくなりそうな気がします(笑)。

 

日本における寺院建築の様式の移り変わりは、そのまま「仏教」というものの変遷の歴史に他なりません。その伝来から奈良仏教、そして最澄や空海による山岳密教、鎌倉・室町の大衆仏教へ。その時代ごと、文化の違いごとに、木造建築の様式も移り変わっていきます。

 

本書では地域別に巻が分けられていますが、様々な時代の古建築が採り上げられています。私も詳細には理解していませんが、でもそういった建築様式の変遷もふまえて見ると、より深く楽しめそうです。

 

私も、昔はあまり興味がなかった「仏教」や「神道」というものについて、日本人がつくってきた「精神浄化のシステム」という理解で徐々に捉え直すことを楽しめるようになってきました。これはやはり、年齢のなせる業なのかもしれません…。

 

そういうことに興味が深まる時、それと連動した「浄土」への旅の船とも言える寺院建築は、より深遠な存在として感じられますそれらを網羅したこのような全集は、歴史や日本文化への理解が進むとともに、また違った愉しみ方が用意されている、「深い味わい」という価値をもった書物ですね。

 

それを我が木の家づくり図書館が蔵するというのは、非常に誇らしい、ありがたいことです。ぜひ皆さんに手にとってもらって、その凄い価値の一端を感じ取っていただければ。そう思います。