台所の一万年

2013.1.31|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

 

『台所の一万年 -食べる営みの歴史と未来-』 山口昌伴著 農文協(百の知恵双書)

 
ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家の設計士、山口です。

 

この本、「台所の一万年」とはまた、凄いタイトルですね。でも、とても面白く、深い内容の本なんですよ。

 

この山口昌伴氏の御著書はいつもそうなのですが、物事の本質を考える、本来の姿を考える、というスタンスが貫かれていて、目先のことにとらわれがちな我々凡人の目から、鱗を落としてくれます。

 

サブタイトル「食べる営みの歴史と未来」という言葉に表れている本書の内容は、以下のようなものです。
(なるべく著者の言い回しを引いています)

 

・今なぜこんなキッチンで、こんな食べ方をするようになったのか、その経緯を知ること。
・また、この100年の間にキッチンに起こった「異常な状況」を知ること。
・そして、21世紀の100年もこんな食べ方でいいのか、という問いを立てること。
・さらに、「今どきのキッチン」から「美味しい台所」へ、21世紀日本型台所づくりの提案をすること。

 

著者が言うこれからの台所づくりとは、「早く、便利に」という効率至上主義のキッチンから、「楽しく、美味しく、健康に」という方向性へ、そして「季節と食べ物を大切に」という自然共生への転換だと思います。

 

それは、何か日本人が近代化の中で置き忘れてきたものの再認識、とも言えるのではないでしょうか。

 

私にとっても、家づくりという日々の志事の中で、キッチンの設計は常について回るものです。今まで数多くのキッチンを考えてきました。

 

たくさんの数をやっている中でついつい忘れがちな、その「食の営み、その喜び」という本質的な部分。それをこの本は「そこが大事なんだよ」と照らしてくれているようですね。

 

自分の「ものの考え方」が惰性化するのを引き戻してくれる。その核の部分を意識させてくれる。こういう本は私にとって非常にありがたい存在であります。