塩で清める
ご愛読、ありがとうございます。お家の設計士、山口です。
今日はいきなり「赤穂の塩」が出てきましたね。昨日に引き続き、これも先日の視察の途中で見かけたものなのです。さて、どこで使われていたものでしょう。
老人ホーム、ではなくて、今回合わせて見学をした、無添加の昔ながらの石けんづくりをしておられる「シャボン玉石けん」の工場に積んであったんですよ、このたくさんの塩!
無造作に置かれているのを見て、石けんにも塩が入っているのか、と私は思いましたが、説明を聞くとそうではなくて、もっと面白い使用法でした。
シャボン玉石けんでつくられる昔ながらの石けんは、「ケン化法」という釜炊き製法で、1週間から10日という長い時間をかけてつくられています。合成洗剤が2、3時間でできるのとは比較にならない手間暇と、熟練の技によってできあがっていくんですね。
その、油脂と苛性ソーダをじっくりと反応させるという釜炊きの間に、途中でこの赤穂の塩が入れられます。それは、石けんとなるべき反応中の原料に含まれる不純物を、この塩と反応させて取り除くためなんだそうです。
出来上がった石けんの原材料を見ても、塩は書いてありません。材料としてではなく、途中で投入され、石けんの中の余分なものを取り除くためにだけ使われる、まさに「お清め」のための赤穂の塩だったんですね。
人の体や衣類の汚れを綺麗にしてくれる石けんが、最後に塩でお清めされてつくられているなんて、何だか面白い!人間も色んな場面で、穢れを払うために塩を用いますが、石けんも一緒なんやなあ。
そんなことを感じて、私はシャボン玉石けんの工場でひとりニヤニヤしてしまったのでした。
そうか、それで穢れならぬ汚れが、よく落ちるのか、なんて、意味もなく妙に納得したりして。