壁の絵を見て

2014.3.6|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

2014-03-06 20.32.09

 

 

ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。

 

今日は夕方から、芦屋にあるお店で、イベントのオープニングパーティーに参加していました。親しくしていただいている木の家具屋さん「Jqualia」でおこなわれる小泉誠さんの「36展」、その門出を祝うパーティーでした。

 

家具、小物、建築、器、道具、そんなものづくり、本物の商いに関わる方たちが多数参加された、とても興味深い集まりでした。私も、Jqualia松下さんのご招待で、参加させていただいた次第です。

 

場所はJR芦屋駅近くの「Left alone」。ここらでは老舗のJAZZと中華ダイニングのお店なんですね。その店の、私が座った席の向かい側に、何やら手描きらしい絵があったんです。冒頭の写真がそれ。これは船ですね。

 

なかなかの雰囲気、そして板にマジックで一気呵成に描き上げたと思しき、勢いに満ちて、とてもエネルギーが感じられる絵でした。私もこういう船や乗り物の絵が好きなので、惹きこまれるようにしばらく眺めていました。

 

本日司会をしておられた「ma+design」の樋口さんが、この会場の紹介の中で言われました。「これはここを設計された野井さん直筆の絵です」と。あ、そうか、これは野井さんの絵か。私はそう思ったのです。

 

野井さんというのは、店舗設計の大先輩、野井成正(のい しげまさ)さんです。今の若い人はどうかわかりませんが、私の世代の人間には、この名前は非常にインパクトがあるのです、その素晴らしい作品群によって。

 

私も20代の頃、社会へ出てしばらくした頃から、酒場へはあちこち出入りをしていました。そんな中で、「この店はとても感じがいいなあ」「居心地よく、美味しい酒が飲めるなあ」と感じる店で、聞いてみるとそれが野井さんの作、ということがよくあったんです。

 

そんなこともあって、私自身はまだ面識がありませんが、野井さんというインテリアデザイナーには、畏敬の念に近いものをずっともってきた、そんな感じなんです。ですから、今日はその野井さん直筆の絵の前で飲む、という機会に恵まれて、なんだか今まで体験してきたあの店、この店が、脳裏に蘇るような、そんなひとときだったのです。

 

仲良くしていただいているJqualiaの松下さんも、そして「収納の巣」主催のライフオーガナイザー、宇野さんも、野井さんとはずいぶん親しくしておられるようです。そんな仲間から、そのうちご本人へと私もご縁がつながるかもしれませんね。

 

今日のパーティーには野井さんはお越しになっておられませんでしたが、他にも色んな方と、お二方からのご紹介でつながっていくことができました。木やものづくりに関わる方々とのご縁は、私にとって他に代えがたいもの。ありがたいことですね。

 

ものづくりとは、自分の手の痕跡が目に見えて残る志事です。だからこそ難しいし、だからこそ面白い。もう20年以上前から、色んな場面でその志事を体感してきた大先輩の、生々しい手の跡を見て、改めてそう思いました。

 

自分のつくったものは、こんな風に誰かに見られて影響を与えることがあるのだろうか。そんなことも思います。でも、木の家は不特定多数に向けたものではありませんから、それはちょっとまた違うのでしょうね。

 

でも、きっとその家で育つ子どもたちに、木の家は何らかの作用を及ぼすはず。それが何かはわかりませんが、そういうもの。それでいいのではないでしょうか。

 

つくる人、つくられたもの。それを見て、感じる人。そして、つくる人を目指す人。人と人は「知り合う」という繋がりがなくても、ものを通じて知らずしらず繋がっていくんだなあ。壁の絵を見て、今夜はそんなことを思ったのであります。