夜の山邑邸

2014.10.27|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

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ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。

 

一昨日の土曜日のことになりますが、ここ芦屋のKJWORKS阪神事務所からほど近い場所に、ちょっと「夜の散歩」をしてきました。行き先は建築に携わる人間にはよく知られる、「ヨドコウ迎賓館」です。

 

株式会社淀川製鋼所の迎賓館となっているこの建物は、国の重要文化財。あの帝国ホテルを設計したフランク・ロイド・ライトが、灘の酒造家である山邑(やまむら)家の依頼を受けて設計した別邸です。私たち建築屋の間では「山邑邸」と呼ばれていますね。

 

その建築は1924年で、今年は築90周年。それを記念してこの秋、土曜日の夜にだけ一般公開の開館時間を延長し、夜8時まで見られるという特別なイベントが開催中で、これを逃してはならぬとばかり出掛けてきたんです。

 

その外観、内部ともに、昼間ももちろん素晴らしいのですが、夜の山邑邸の室内を見られる機会はめったにありません。灯りに彩られたその内部空間は、やはり昼間とはまた違った魅力がいっぱいでした。

 

冒頭の写真は、そのエントランスへのアプローチから外観を撮ったものです。左に少しだけ見えていますが、この建物は芦屋川の突き当りと言えるような高台に建っていて、そこからの市内の眺望が素晴らしいのです。

 

今回はそれが夜景になるわけで、これもなかなか見ることは出来ません。写真にはうまく写りませんが、特にバルコニーからの眺めは凄い。なにしろロケーションが最高なのですから。

 

内部はと言えば、隅々までライトによるデザインが行き届いています。もちろん、照明器具も。ブラケット(壁付照明)とスタンドを中心とした落ち着いた照明計画も、今回初めてその点灯時を見ることが出来ました。これも写真にはうまくおさまりませんが、例えばこんな感じです。

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壁の塗装がやたらツヤツヤしているのが気になりますが、他は木と、ライトが好んだ大谷石のインテリア。それがそこここで灯りに浮かび上がるさまは、昼間の表情とはまた違った趣きに溢れていました。

 

ライトの建築は、同時代のいわゆるモダニズムとは大きく違い、彼ならではの造形、まるでどこかの遺跡のようにすら思える独特の意匠が、その大谷石という素材によって形になっています。

 

その彫りの深い意匠は、思った通り、夜の灯りのもとでさらにその魅力を増していたように思います。滅多にない機会にしっかりと眼福を得て、ほくほく顔で事務所へと戻った私だったのでした。

 

なお、この「竣工90周年記念 夜間公開」は、あと一回だけ、今週末の土曜日におこなわれます。その陰影を楽しみたい方、最後のチャンスをお見逃しなく!