天使の建具

2013.7.15|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

 

ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。

 

昨日も「子どもたちのサイン帳」で書いた、箕面のリフォーム工事には、もうひとつ、ご家族にとって大切な「思い出を活かす」工夫がありましたので、それをご紹介します。

 

それは、先日「光に向かって」でも採り上げた、明るい階段室に向けて壁に穴を開けた部分です。冒頭の写真はその様子。台形に開口を設け、上部は三角のハメ殺し窓、下は引違いの建具を入れました。

 

そしてその下に造付けの引出付きカウンターを設け、長女のミホちゃんの勉強スペースにリフォームしました。元は行き止まりの、暗い物置場所だったのが、まさに大変身した気持ちのよいスペースです。

 

思い出を活かす工夫とは、ここに嵌められた「引違いの建具」です。この建具は新しく作られたものではなく、この家の子供達にとって、とても思い出の深い建物につけられていたものを、寸法を調整し、表面も綺麗に化粧しなおして、取り付けたものなんですよ。

 

その建物とは、この家の近くにあり、この家の子どもたちが通った、幼稚園です。2010年の3月末で閉園した、「箕面天使幼稚園」の建物に使われていた木の建具、だったんですね。

 

昭和32年の開園以来、ずっと長い間、地域の子どもたち、そしてご父兄たちに愛されてきた、とても素敵な幼稚園だったそうです。このお宅のご両親を含め、箕面天使幼稚園に関わった方々は、その閉園を心から悲しみ、その建物が解体されるのをただ見ていることが、とてもできなかったといいます。

 

園の庭にあったマリア像は別の教会にお願いして引き取ってもらったり、このような木の建具などは解体現場からはずしてもらってきたりと、何か少しでも残しておきたい、そんな気持ちでいっぱいだった、と聞きました。

 

そのようにはずされ、保管されていた何枚もの建具の中から、今回は状態の良いもの2つを選んで、加工し、新しく作られた開口部に嵌め込みました。ご両親も、ミホちゃんも、とても嬉しそうです。

 

「天使の建具」が、自分の家に入った!リフォームって、そんなことも出来るんだ!

 

リフォームでも新築でも、KJWORKSの木の家づくりでは、このような「思い出を木の家にまた活かす」ことを、とても大切にしています。今回は、当初は知らなかった天使幼稚園の事情を教えていただいて、着工直前の段階で変更をかけ、とても良い結果を生むことができました。

 

思い出という、時間と人の気持ちが生んだ、とても大きな財産。それを家づくりに活かすことは、家への愛着をより深めてくれます。そして、思い出とともにある、豊かな暮らしが生まれます。

 

お金では決して買えない「心」の価値を、これからも木の家づくりに取り入れていきたい。この建具が嵌った勉強スペースを見つつ、そんな想いを新たにしました。