家のお守り

2015.2.10|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

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ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。

 

昨日は親と子のことを書きました。親にとってはいつまでも子ども、そんな母の目線のことから、ちょっと別のことを連想したので、今日はそのことを書いてみましょう。

 

冒頭の写真、先日の現場打合せの時に撮ったものです。阿蘇小国杉の柱や梁がたくさん見えて、よい香りまで漂ってきそうですね。そして勾配天井として仕上がる予定の屋根の垂木。その向こう側に、何か飾り付けられていますよ。

 

これは、上棟式の時に用意された「御幣(ごへい)」です。工事の安全と出来た家の長久を祈念するものであり、魔除けの意味もあるものだそうで、古くから家づくりにおいて伝わる「家のお守り」なんです。

 

桧で出来た木材(「幣軸」といいます)の上部に、日の丸の扇をみっつ繋げて円形にした「扇車」をつけ、左右に紙垂(しで)を垂らしています。正面には「捧 上棟」の文字とお施主さまのお名前、裏面には日付とKJWORKSの名が入っているんですよ。

 

この御幣、上棟式では柱にくくりつけてその前で式をおこないますが、その後は、こうして建物の屋根裏になるところへ納められます。リフォームのお話を受けて家の調査をする時なども、屋根裏にあるこの御幣や棟札を見ることで、いつ建てられたかがわかります。

 

この木想家では、ちょうど手前が勾配天井の部分で、その奥は天井が平らで屋根裏がある。その境界部分の壁の奥に、こちらの部屋の方を向いて取り付けることができました。

 

もちろん日常の暮らしの中では見ることは出来ませんが、1階のリビングにいても、吹抜の上、勾配天井の奥の壁の中に御幣があると知っていれば、なんだか気持ちも違う。そう思いませんか。

 

あの壁の向こうに、この家のお守りがある。こっちを見ていて、この家に来る悪いものを追い払ってくれる。見えないところでいつも自分を守ってくれている御幣の力に、何か離れて暮らす両親の想いにも似たものを連想した、というわけなのでした。

 

人はいつも、心のどこかで庇護を求め、それによる安楽を求めているものだと思います。御幣も含めた「お守り」の類はすべてそういう気持ちがかたちになったものでしょう。そして地鎮祭や上棟式といった家づくりの祭事も、自然の中に遍在する神々とつくられる家との調和を願っておこなわれます。

 

「家のお守り」は、人間が生まれでた自然界の神の力を宿すもの。そういう意味でも、父母の存在に通じるものをそこに見るのは、あたり前のことなのかもしれませんね。