富士登山

2013.2.19|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

 

ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS.木の家の設計士、山口です。

 

今日も関東方面にて、異業種の素晴らしい事例を見学し、学んできました。そして今日の午前中が今回のメインと言うべき介護福祉施設でした。名前を「夢のみずうみ村浦安」と言う、デイサービスセンターです。

 

デイサービスというのは日帰りの老人ホームですが、ここが他と違っている素晴らしい点は、徹底してリハビリに力を入れている、ということなんです。

 

リハビリと言っても、高齢者の方々がおこなうものですから、さほど特殊なものはありません。とにかく自分の足で歩く、体を動かす。若干の負荷をかける意味でわざとスロープにしたコースを歩きながら、色んな運動になるような体を動かす課題が用意されています。

 

運動以外にも、料理、パンづくり、陶芸、編物、カラオケ、園芸などなど、たくさんのメニューがあります。素晴らしいのは、利用者の方がそのメニューを自分で選択し、自分の一日の行動を自分で決めていること。あたり前のようですが、これはとても画期的なことなんです。

 

施設内の色んな場所に、そのリハビリ内容に応じた名前が付けられているのですが、それらの中で最も象徴的なのが、フロア中央にデンと聳える、この真っ赤な階段です。

 

この階段を自分の足で上がり下りすることを奨励し、それを目標に頑張る。この階段をここでは「富士登山」と呼んでいるんです。まさに象徴的な、ここのシンボルなんですね。

 

通路に手摺はなく、スロープだらけ。普通ならまず作らない、大きな長い階段。いわゆるバリアフリー設計とは逆の考え方でつくられているこの「夢のみずうみ村」。そこには、リハビリを通じて身体能力を取り戻し、人生の現役をもっと続けてほしい、そんな願いが込められている。そう感じます。

 

自分の意思で能力回復に向けたメニューをつくり、目標を立て、それに向かってリハビリに励む。「行かされている」施設が多い中、ここの利用者の方々が本当に素敵な笑顔で我々見学者に接してくれたのは、そこに人間の尊厳が保証されているから。

 

今日はそんなことを感じつつ、この富士登山を利用者の方と一緒にさせていただいたのでした。