平屋にしないわけ

2015.6.9|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

2階が小さい、ほぼ平屋の木の家の事例です

〈2階が小さい、平屋に近い木の家を検討中。こんな事例を思い浮かべながら。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。

 

いま、新しい敷地でお客さまへ「間取りのイメージ」をご提案すべく、プランを検討しています。今日も、何枚もそのためのラフスケッチを重ねる一日でした。

 

その木想家は、ほぼ平屋の家。基本的に生活動線は全て1階でまとまるというご要望を受けてのことで、お客さまは本当は完全な平屋がいいのですが、私から「一部2階に」というご提案をしているんです。

 

ほぼ平屋の家、といって私の頭にすぐに浮かぶのが、冒頭の写真の木想家です。2階は写真左の方に、1階よりもだいぶ小さく設けられています。樹木に隠れて見えにくいですが。

 

この木想家の屋根からは薪ストーブの煙突が出ていますね。いま検討している家も同じく薪ストーブが必須で、実はこのストーブの煙突こそ、私が一部2階を提案したひとつめの理由です。

 

写真の家は田園風景の中にあり、周囲の家とかなり離れています。ですからこの平屋の屋根から煙突が出ていても問題ないのですが、今回の敷地は2階建ての隣家がわりとすぐ近くにある。しかも、屋上に物干場がある家もあったり。

 

そういう隣家の中で「平屋から煙突」では、周辺より低くなり、おそらく炊き始めの煙で近隣とのトラブルになりやすいことが予想される、というわけですね。ですから一部2階にして吹抜けを設け、その中を煙突が高く上がるようにするのがよい、という判断です。

 

そしてもうひとつの理由は「採光」です。平屋は1階が広くなる分、家の中央部分が暗くなりがちです。それを防ぐ、何がしかの採光窓があったほうがいい。冒頭の写真の家の煙突の向こうにある窓は、部屋ではなく吹抜け上部の窓。家の中央に明かりを導くための窓なんですよ。

 

検討中の敷地は南側が広い畑。今は明るくていいのですが、もし将来ここに住宅が建ち並んだら、一気に日照条件は悪くなります。それをあらかじめ想定し、そうなってもいいように家の中央部に光を採り入れる窓、吹抜けとセットになった窓が要る。そう感じました。

 

そんなことで少し部屋を2階に上げ、吹抜けとセットにして、上記の二つの問題を解決しよう、ということなんです。今回の敷地では、間違いなくそれがポイントになってくるはずですから。

 

そういう風に、その敷地の条件や周辺環境をよく見て、それがお客さまのご意向と相反する状況であるなら、たとえご要望通りでなくても、それを含めてのよい提案ができること。それこそが「暮らしを実現する」ための家づくりではないでしょうか。

 

今日もそんなことを想いながら、ああでもないこうでもないと間取りをいじくっていました。まだ出来上がっていませんが、コンセプトがしっかりしていれば、きっと形はそのうちまとまってきますから。

 

「あ、でけた!」という瞬間までもう少し、頭と手で「かたち」を練っていく時間がつづきそうです。