文豪の夢

2013.12.27|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

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『文鳥・夢十夜』   夏目漱石 著   新潮文庫

 

ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。

 

年末になると、人に貸していた本が帰ってきたりしませんか?皆さん大掃除で身辺を片づけ始めると、読み終わった本などが出てきて、「あ、これあの人に借りていたんだった」なんて(笑)。

 

最近、そんな感じで私の元へ帰ってきたのが、この本です。私は漱石の作品群を愛読する者ではありませんが、でもこの本は、ある作品を読みたくて昔手に入れたものでした。人に貸していたのも忘れてしまっていましたが…。

 

その作品は、書籍タイトルにもある『夢十夜』です。昔いっとき、心理学や精神分析に興味がある時期があって、フロイトやユングをかじってみたものでした。そんな時、夏目漱石が自分の見た夢を元に書いた作品がある、と聞いて入手してみたのがこの本。

 

タイトル通り、漱石の見た夢の物語が十夜ぶん、集められています。どれも独特の夢の世界が描かれ、その奇想天外さ、あの何とも言えない「夢の論理」、そして心の奥底に居る怖くて恐ろしいもの達が、漱石の深みある文体で描き出されています。

 

人は必ず夢を見ているそうですが、多くは目覚めとともに忘れてしまうようです。私も最近はほとんど夢を覚えていません。手元に帰ってきたこの本と「夢十夜」を改めて読んでみて、夢を見ては記していた昔を思い出しましたね。楽しい夢、怖い夢…。

 

本書には他の作品も多く収録されています。どれも明治末期に朝日新聞に載った、漱石による小品です。一人称によるエッセイ風、あるいは短い私小説的なものばかりですので、『坊ちゃん』などの三人称による作品群とは違って、気楽に漱石の世界を楽しむことが出来る一冊になっています。

 

年末年始に、珍しく日本の文豪の本など読んでみようかな、という方には、手軽な入門編として。それから、最近面白い夢を見ないな、と思っている方には、「初夢」への刺激として。

 

どちらの方にも、漱石によるこの作品たち、おすすめいたします。