日本の座りかた

2013.9.28|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

『椅子と日本人のからだ』  矢田部英正 著   晶文社

 

ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。

 

喜ばれる「暮らし(K)を実現(J)する」ことを旨とするKJワークスのスタッフにとっては、非常に興味をそそられるタイトルの本です。なんといっても、今やダイニングテーブルで食事をするご家庭が大多数なのですから。椅子は暮らしの大切な一部ですね。

 

しかし、本書の一行目は、こう始まります。「日本の椅子は疲れる。」と。なんとも刺激的な書き出しですが、これにうなずく人はかなり多いのではないでしょうか。私もその一人です。

 

著者は元体操選手。選手時代からの「姿勢」の訓練を通じて、日本古来の身体技法の研究にのめりこんだという人物です。そして本書は、その研究を通じて、現代日本人に合う椅子とはどんなものか、あるいは、日本人がするべき「椅子への座り方」とはどんなものか、を論じたものです。

 

そもそも日本には、営々と受け継がれてきた「床座」の文化があります。椅子に座るようになったのも、長い歴史の中では、ほんの最近のことなんですね。本書はその広大なバックグラウンドをふまえて、まずは日本人にとって自然な立居振舞い、姿勢とは?ということを解き明かしていきます。

 

日本人の身のこなし、それには床座と同じく日本の文化である「着物」も重要な役割を果たしていました。それは「帯」による姿勢保持機能ともいうべきもの。着物を着る人にはわかる、あの「シャンとした感じ」が、我々にとって自然な「よい姿勢」である、というわけですね。

 

それを前提として、現代の椅子座の生活様式に、そのシャンとした感じを実現するような椅子、そんな座り方というものが、本書では追求されています。

 

面白いのは、色々と論考が重ねられた後、実際に著者がそれを実現する椅子をつくっていることです。本書を読むと、是非その椅子に座ってみたくなりますね。

 

KJWORKSの「かぐら」にも、子どもたちの姿勢をよくする椅子「アップライト」が展示販売されていて、小さなお子さんをおもちのご家族によくご購入いただきます。今、それだけ「よい姿勢」というものは大事に思われているのでしょうね。そういう本も多く出ていると聞きます。

 

その中で本書は、「今に暮らす日本人にとって」よい椅子というものを、長い歴史をふまえた考察の中で明らかにしているところが、読んでいてとても腑に落ちる。シャンとして座りたい方に、お薦めの一冊です。