木のための温泉

2013.10.21|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

2013-10-19 17.19.20

 

 

ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。

 

今日は通常業務をおこないながら、この土日の阿蘇小国ツアー、その行った先々、会った方々、味わったものたちを、反芻して楽しんでいました。小国町で小国杉が出来るまでを体感した中で、皆さんにぜひご紹介しておきたいと今回も思ったものについて、また書くことにします。

 

それが冒頭の写真のもの。大きな扉が開かれて、中に木材がずらっと大量に並んでいますよ。説明を受けながら、その材を撫でている人もいますね。

 

これは、建築材料に必要な「木材の乾燥」をおこなう施設です。その中でも特に、この地域の特色を活かした素晴らしい方法である「地熱乾燥」の乾燥庫なんですよ。

 

この地域と書きましたが、ここは小国町の「岳の湯地区(たけのゆちく)」というところです。「火の国」と呼ばれる熊本県の中でも、この辺りは非常に「地熱エネルギー」が強いエリア。温泉もありますが、それ以外にも道端や空き地から、非常に高熱の蒸気がドーッと噴き出している、そんなところなんです。

こんな感じです。

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この地熱エネルギーがつくった高熱の蒸気、その熱エネルギーを使って、化石燃料を使うことなく、木材の乾燥をおこなおうというのが、この「地熱乾燥」です。CO2の排出のない、クリーンエネルギー利用の乾燥法なんですね。

 

従来の木材乾燥は、ボイラーを焚いて熱エネルギーをつくりだしていました。高い温度で乾燥をおこなうため、短時間で乾燥ができますが、そのかわりとして、膨大な化石燃料が必要なことと、木材の自然な色合いが失われてしまう、という難点がありました。

 

その難点を見事にクリアすることができるのが、この地熱乾燥です。もちろん、直接高温の蒸気を木材にあてるわけではありません。それを一旦熱湯にし、庫内のパイプに通すことで熱を木材に伝えるんです。あまり温度が上がり過ぎず、じっくりと乾燥するため、非常に乾燥後の木材の色艶が美しいのです。

 

従来の問題点を一気にクリアする画期的なアイデアは、実はすぐそばの温泉街にあった、というわけですね。乾燥に時間がかかるというのが少し困りものですが、低温乾燥であることから、冒頭の写真のように、乾燥の途中で扉を開けるということもできたりします。従来の乾燥庫では、これはあり得ないことなんですよ。

 

乾燥に時間がかかるため、全ての小国杉材がここで乾燥できるわけではありません。しかしKJWORKSの木想家では、なるべく多くの木をこの地熱乾燥材とするように家づくりをしています。

 

自然の恵みに囲まれて、自然な暮らしをしておられる阿蘇小国町の皆さんにとって、この地熱乾燥も同じことなんですね。熊本ならではの大自然の恵みを使って、無理のない木材乾燥をするんですから。

 

自然とともにあることこそ、実は最先端のエコな技術である。地熱乾燥は、そのとても良い見本だと、今回も得心して帰ってきた私だったのでした。このような素敵な方法を使った材料で家づくりが出来るのは、非常に誇らしいことなんです。