木造と鉄骨造

2013.8.9|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

 

ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。

 

いま、KJWORKSの社屋の南側隣接地では、彩菜みまさかさんの立体駐車場の工事がおこなわれています。まさに今、建て方の真っ最中。鉄骨が組まれ、デッキプレートと呼ばれる床が張られていきます。

 

鉄骨で組まれたこの建物、立体駐車場ですからあたり前ですが、建物の中に壁はありません。柱と梁が組み上がるだけで、構造として成立するんですね。でも、KJWORKSがつくっている木の家は、そうではなく、「耐力壁」という壁をたくさん必要とします。

 

木造と鉄骨造、この違いはいったい何なのでしょうか。同じような細長い部材を用いた「骨組み」で出来ているのに。

 

それは、細長い柱や梁といった部材が組まれる、その「接合部」に秘密があります。木造の場合、この接合部は「仕口(しぐち)」と呼ばれ、例えば「ほぞ」という仕口で、一方が凹の形、一方が凸の形に削られて、組み合わされます。

 

でも、そのほぞ仕口は、それだけでは固く締まってはおらず、動くこともありえる組み方です。こういった仕口のことを、構造用語では「ピン接合」と言います。仕口が固まっていない、だから、四角く組んだ柱や梁は、それだけでは平行四辺形にゆがむ可能性があるんですね。

 

だから、その間に「耐力壁」という壁を入れることで、その四角をがっちりとかためる必要がある、というわけなんです。この耐力壁には、よく聞く「筋交い」という、?の形に入れられる木材があったり、KJWORKSがやっているような「構造用パネル」という板材があったりします。

 

比べて鉄骨造は、この仕口が溶接やリベット留めによって、ガッチリと固まっているんです。動くことがない。これを「剛接合」と言いますね。四角が平行四辺形になったりしないから、間に耐力壁を入れる必要もない、というわけなんです。

 

このような剛接合の柱梁構造を、「ラーメン構造」と呼んだりします。ラーメンというとふにゃふにゃした麺類を思い浮かべますが、これは中国語ではありません(笑)。ドイツ語の「ラーメン」なのですね。

 

木造と鉄骨造には、そのような構造上の大きな違いがあります。ですから、このような立体駐車場は、木造では非常につくることが困難、ということになります。木造においては、「耐力壁」が大きな役割を果たしていますから。

 

では、木造の「剛接合」や「ラーメン構造」はつくれないのか?という疑問が当然出てきますが、技術的には可能で、いま徐々に大きな施設建築にも木造が取り入れられていく中、そのような木造ラーメンも登場してきています。

 

しかしそのような構造物は、いわゆる「大断面集成材」をつかい、接合部を金物でガチガチに固めたものが多いです。やはりその部分には、木でなく鉄の力をたくさん借りて、でないと、つくりにくいようです。

 

私たちKJWORKSは、森に生えている木を製材した「無垢の木材」を使っており、それが大好きです。ですから、そのような鉄の金物の力で木を締め付けて固めてしまうようなラーメン構造には、どこか違和感がある、というのが、正直なところ。

 

「木組みの家」は、壁でしっかりと固めて強くする。それでいいじゃないか。あえてそれで立体駐車場をつくらなくてもいいいじゃないか。建築物の種類によって、木造や鉄骨造、それぞれの利点を活かせば、いいじゃないか。

 

使う素材に合った自然な工法で、無理なく建てる。それが、使われる木や鉄にとってもよいことでしょうし、そうあればこそ、うまくその力を存分に発揮してくれるはず、ですよね。

 

今日は鉄の骨組みが組み上がっていくのを眺めながら、「使う素材に合った工法」の大切さを改めて思った、という次第です。