木造ビルの夢

2013.11.6|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

2013-11-05 12.55.54

 

 

ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。

 

昨日に引き続き、銘建工業さんでの学びについて書きます。バイオマス活用もさることながら、もうひとつ、これからの建設業と木造建築に大きな意味をもつ取り組みを進めておられるということで、それも今回の見学の重要ポイントだったのです。

 

冒頭の写真が、その新しい建築への扉を開くかもしれない、最新技術の「集成材」です。名前は「CLT(cross-laminated timber)」と言って、従来の集成材とはまた違ったものなんですね。

 

従来の集成材は、板材の目の方向を揃えて接着します。それが長らく「あたり前」でした。でもこのCLTは、板の方向を90度変えて、交互に張り合わせるんです。縦、横、縦、横、という風に。写真でも、それがおわかりいただけるでしょうか。

 

「あたり前」に逆らったその風変わりな集成材は、しかし、とんでもなく高い強度をもつことになりました。欧米ではその強度に着目して技術基準も徐々に整備され、このCLTを使った構造による大規模な木造の建築物が出来てきています。

 

それは例えば大規模商業施設、あるいは8階建の集合住宅というようなもの。従来では考えられなかった規模の建築ですね。カナダでは今、なんと30階建ての木造が計画されているといいます。いや、もう信じられない世界です。

 

となれば日本でも、国産の杉を使ってこのCLTをつくれば、もっともっと大規模な建築が木造でできるようになる。木材の需要が大きく広がる。それは日本の林業を大きく価値転換させるきっかけともなる。

 

銘建工業の中島社長はそのようにお考えになり、日本でまだ誰もやったことがないこのCLTという「新しい木造」に市民権をもたせるべく、日々邁進しておられるのです。自社にCLTをつくる加工機を導入され、並行してJASや建築基準法などの「決まりごと」の改正へ向けての実験・検証という、気の遠くなるような作業を。

 

KJWORKSは木の家づくり工務店ですが、常にその木材が出てくる「山」のことは気になっています。もっともっと、木を使った家をたくさんつくり、森林資源がうまく循環していくラインにまでもっていけないか、と。

 

でもそれには、一方で住宅が木の家になることも重要ですが、他方で「ビルディング」が木造になる、ということも非常に大きな意味をもつのです。大規模建築が木造になれば、木材の使用量が桁違いになりますから。

 

きっと今すぐには実用化しないであろう、CLTという新しい光。その困難で遠大な道に全力で打ち込み、日本の林業と建設業を今の泥沼から救おうと努力されている銘建工業さん。その姿勢、その広い視野、大きな大きな夢に、元気をたくさんいただいて帰ってきました。

 

木材とは、この世で唯一の「循環し、再生する(植えれば育つ)構造材」です。そしてさらに、人に元気や癒やしを与えてくれる。自然とともにある生活、自然と共生する社会において、建物はきっと木で出来ているはずだと思うのです。

 

それをついに現実のものとするかもしれない、このCLTという「新しい木」。これからの技術基準や法整備の行方から、目が離せそうにありません。