森の病理学

2013.11.28|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

2013-11-28 10.28.50

 

 

ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。

 

今日は、先日おこなった「森を繕う」メンテナンスの続きの作業に、同じく植樹指導をしてくださったエスペックミックの吉野さんと一緒に取り組んでいました。私は午前中しかお手伝いできませんでしたが、ほぼ目処が立ったかたちです。

 

それはいいのですが、実はもう一箇所、皆で植樹してつくった「鎮守の森」に、大きな問題が生じていました。場所は、一番最初の2008年に植樹したエリア。そこでこの夏以降、一部の樹が枯れ始めたのです。

 

冒頭の写真がその様子です。森の一部が、円を描く形で枯死(こし)してしまっています。今日は枯れた木を切ったので、森の中にまるで秘密基地のような大きな空洞、木のない部分ができてしまいました。

 

空洞の周りの木には、ピンクのテープが巻かれていますね。枯死してしまった範囲のすぐ廻りにある木に、このように目印を付けています。次回のチェックまでにどうなるか、病状の広がりを把握するためです。

 

ほんの小さな苗から5年で大きく育って、高さ4mほどの森になってくれていたのに、本当に残念でなりません。一体何故こんなひどいことになってしまったのか?実は枯れ始めてからずっと、その原因を吉野さんと話したり調べたりしてきましたが、今までなかなかわからなかったのです。

 

それが、今日お越しいただいて一緒に枯死の状況をチェックしていた吉野さんが、ようやく原因を特定されました。それは、ピンクのテープを巻いた木の根元に、白い「菌糸」が発見されたからです。

 

この病気は、「白紋羽病(しろもんぱびょう)」と言う名前。子嚢菌類(しのうきんるい)の一種が引き起こす、土壌伝染性のものだそうです。可哀想に、枯れた木々は、伝染病にやられてしまっていたのでした。

 

植物の根が白色の菌糸に覆われてしまって、まず根に元気がなくなります。菌によって根の組織が侵され、養分や水分の吸収をさまたげてしまうんですね。それによって地上部の木からも生気がなくなり、やがて枯れてしまいます。なんと恐ろしい病気でしょうか。

 

枯死した円形のエリアに隣接する木々も、根の周りの菌糸が見えているということは、もう長くないということです。そんな木が何本もあり、次にそれらも枯れてしまうと思うと、もういたたまれない気持ちになります…。

 

しかし、苗がやられた部分と同じく、悲観して嘆いていても仕方ありません。枯れてしまった木々は本当に可哀想ですが、残念ながらもう生き返ることはありません。この先、恐ろしい白紋羽病から「鎮守の森」をどう守るかが最も大事で、そのために何が必要か、そのことを吉野さんと話し合いました。

 

まずは原因が特定できたので、早急に必要な薬剤の種類と「投薬方法」を調べていただくということになりました。吉野さんがいつもご来館、というのは難しいので、私ができることがあれば電話でご指示いただき、代役で薬を撒いたり、可能な限りお手伝いをさせていただくことも。

 

そんなことで、土の中の病原菌との対決が、これから始まります。皆で想いを込めて植えた森、その木々の命を奪ったことは、私にはとても許すことは出来ません。なんとか方法を見つけて、すべて退治してしまおう、そう吉野さんと誓い合いました。

 

そして今日もまた、生きている木々と付き合っていくことの難しさを思います。生半可な気持ちでやれることではないですね。常にこうやって「森づくり、森守り」に徹し、「宮脇式植樹」の伝道をしてらっしゃるエスペックミックの皆さんの仕事の大変さが、本当に身にしみて感じられた今日でした。