横につなぐ近代

2014.1.30|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

2014-01-30 08.43.16

 

『誰も知らない世界と日本のまちがい -自由と国家と資本主義-』 松岡正剛 著  春秋社

 

ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。

 

松岡正剛氏といえば、「編集工学」を駆使し、古今東西全ての情報世界を縦横無尽に逍遥し、編集し、まとめあげる、まさに「知の巨人」と呼ぶに相応しい人物ですね。そのキーワードは「日本という方法」です。

 

私も20代の頃から、何冊も氏の著作を読んできました。どの著作を手にとっても、そのあまりに膨大で広範な内容に圧倒され続けました。まさに「全部を知るから、切り口が変われば別の著作になる」という感じでした。

 

本書もそんな多くの著作のひとつですが、これには実は「前編」があります。同じ版元による『17歳のための世界と日本の見方』という本。その名の通り、高校生を含めた聴衆を対象としておこなわれた、氏の「歴史講義」の講義録のような著作なんです。

 

前編となる『17歳~』では、古代から日本でいう安土桃山時代くらいまで。本書はその続編として、そこから近代、現代までが扱われています。2冊でセットなんですね。

 

そこに描かれた歴史は、氏によってどのように「編集」されているか。それは「時代ごとに横並びで見る」という語られ方です。日本だけ、アメリカだけ、中国だけ、でなく、世界全体のあり方が関連して理解できる、というもの。それは教科書的な歴史の話とは、全く異なるものです。

 

例えば本書には、こんな設問がありました。「織田信長と、イギリスの女王、エリザベス一世は、どちらが歳上か?」と。答えは、エリザベスが一歳お姉さん。同時代人なんですね。

 

高校生から、が対象だからと言って、その内容の広範かつ深遠なことは変わりません。しかし若干は対象を意識した語り口だし、講義録だということもあって、文語体の硬い本よりもずっと読みやすくなっています。

 

タイトルにある「世界と日本のまちがい」とは、現代世界の色んな問題点が、近代に起こった出来事に端を発している、という意味だと思います。本書はそれを「世界の横つなぎの理解」を通して明らかにしようという試みだと言えましょう。

 

日本の行く末、そして資本主義というものの限界と展望、そんなことの「考え方」を過去の出来事から導く営為。歴史好きの人だけでなく、誰にとっても非常にためになる一冊であります。