段差をくみこむ
ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。
昨日に引き続き、箕面森町でお引渡しを待つ木想家のことを。冒頭の写真のように、もうすっかり出来上がっていて、今日はお引渡し前の見学会でした。バルコニーとデッキの板張り手摺の表情が美しいですね。
デッキに手摺が付いているというのは、道路の面と建物が建つ地面に、段差があるから。この木想家では、この敷地内の段差をどう家づくりに活かすのか、それが大きなテーマでした。
道路は南側なので、普通なら掃出窓の外の土の上にデッキをつくります。しかし段差があるため、デッキは空中に浮いてつくられることに。このデッキがお庭の代わりで、手摺は、落下防止のためでもあり、プライバシーを守る庭の板塀の代わりでもあるんです。
そしてこの大きなデッキの右側の方に、玄関ドアが見えていますね。そう、この家ではポーチもデッキなんです。階段を上がって、木のデッキから家に入るんですよ。
でも、ポーチのデッキと、ダイニングから出るデッキにも段差が付いていて、ポーチの方が一段低い。その段差によって、つながっているようで境界を少し感じる、という意味合いをもたせています。
それに加えて、プランをつくっている時の私の頭の中では、その段差に子供さんが腰掛けていました。そして帰ってきたお父さんに「おかえりなさい」と言っているんです。そんなイメージを膨らませながらつくった段差でした。
さらに、このデッキの下には道路との段差によって、結構な高さの空間が出来ています。車は入りませんのでデッキの向こう側が駐車場ですが、このデッキの下は自転車置場に、そしてご主人のタイヤの置場にと活躍する予定なんですよ。
道路との段差を、手前に擁壁をつくって土で埋めてしまって平らな庭にすることも、技術的には可能でした。でも、それを木のデッキにすることで、このように立体利用ができ、スペースが二倍になった。
家の間取りづくりというのは、平面的な「図面」で表してお客さまにご提案しますが、その検討はすべて立体的にイメージして進められていきます。敷地のもつ高低差、段差は、こうして「スペースの活用」として家の間取りに組み込まれたんですね。
間取りを「床の面積をどう配分するか」という考え方でつくると、こういう発想は出てきません。そうではなくて「空間の体積をどう配分するか」という検討が大切だと思います。
例えば段差を活かすことで、結果的にうまく空間を配分できたとき、その家はさらに広く、便利に、気持よく住めるはず。さあ、そんな工夫をいくつも内包したこの木想家は、いよいよ来週、お引渡しです!