湯桶のかたち

2012.11.16|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

 

ご愛読、ありがとうございます。お家の設計士、山口です。

 

今日、お昼に美味しい蕎麦をいただきました。段々寒くなってきますが、やっぱり美味しい蕎麦は、ざるで食べたいものですね。そしてその後の楽しみが、蕎麦湯であります。

 

その蕎麦湯が入ったこの容器、これ「湯桶」というものですね。写真のこれは「角湯桶」ですが、蕎麦の後で朱塗りのこの四角い容器が現れると、私は何だか嬉しくなるのです。この形が、好きなんですね。

 

角湯桶は、口と持ち手が正面ではなく角についていて、全体の形も下が少し小さく、上に向かって広がる形をしています。

 

注ぐときに中身をこぼしにくいように、角に口がある。真横まで傾けなくても、最後まで綺麗に出るように、上が広がっている。おそらくそんな意味合いではないかと想像しますが、その用途が、結果としてこういうシャープな造形になっているところが素晴らしい。まさに「用の美」だと思うんです。

 

最近は樹脂製のものに漆塗りのものも多いようですが、昔の木で出来たものと樹脂製のものは、注ぎ口の形などを見ると、なんとなくわかりますね。古くなって、漆が角のところから剥げてきているような木の角湯桶は、とても味わいがあって素敵なものですよ。

 

やはり、木で出来た昔ながらの道具が好きなんですね、私。その形、木の使い方には、先人の知恵がいっぱいに詰まっているように思えるからです。

 

ちなみにこの容器の名前から、訓読みの後に音読みがくる漢字の読み方を「湯桶読み(ゆトウよみ)」と言ったりしますね。株券(かぶケン)、野宿(のジュク)などがそうですね。

 

その逆の最初が音読み、後が訓読みというものを「重箱読み(ジュウばこよみ)」と言いますが、その二つの読み方は、どちらも漆塗りの四角い容器の名を使って呼ばれています。

 

私はそんなことにも先人の知恵を感じて、なんだか感動してしまうのです。今日も蕎麦湯を飲みながら、そんな思いにふけっていたという次第、なのでした。