白金の風

2014.11.14|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

春飇

 

ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。

 

昨日は根津美術館のことをご紹介しましたが、実はその後もうひとつ、近くにある著名な美術館へ立ち寄りました。美術館のハシゴというわけで、そこは「山種美術館」というところです。

 

山種証券(現・SMBCフレンド証券)の創始者、山崎種二が収集したコレクションを中心に展示をするこの美術館は、日本で最初の「日本画専門美術館」だそうです。私も日本画がとても好きですので、東京にいくとよく訪れる場所なんですよ。

 

今の場所、広尾に移転したのは5年前くらいだったでしょうか。久しぶりに今回訪れた次第。ちょうど特別展「輝ける金と銀 -琳派から加山又造まで-」が開催されていました。

 

日本の絵画には昔から、金や銀が多く使われてきました。バックを金箔にしたり、砂子(すなご)と呼ばれる粉にして散らしたり、金泥、銀泥という金銀の粉を溶いた絵の具で描いたり。

 

そこに焦点をあててセレクトされた作品群はどれも素晴らしく、楽しんで観て回っていましたが、展示の終盤、その前から一歩も動けなくなってしまった絵がありました。

 

画像があまり鮮明でなくて申し訳ないのですが、冒頭の写真がそれ。牧進の「春飇(はるはやて)」という作品です。俳句の季語にもなっているその名の通り、春の疾風が吹く情景を描いたものですね。

 

牧進は、私が大好きな絵「愛染」を描いた川端龍子を師にもつ画家。日本の風景を詩情豊かに描いて人気がありますが、私はむしろ、氏の画面構成の妙にとても惹かれます。そして、どこかシュールな香りが漂うところも。

 

この絵、画像ではその素晴らしさはほとんど伝わらないのが残念です。実はこの背景には、すべて白金(プラチナ)が塗られているんです。そこに白い花、緑の葉、そして黒い蝶。

 

どう言ったらいいのかわかりませんが、この背景一面の落ち着いた輝きがなければ、この画面に吹く疾風(はやて)はもっと感じられなくなる、というか、力を失う、ように思えるんです。

 

今回の展示全般に言えることでしたが、金や銀などを多用した絵は色んな角度の光を反射して、観る人の位置によってその見え方が変わります。それが「動き」の表現につながっているのでしょうね。

 

おそらく画家もそれをよく知っていて、この絵のバックに白金の輝きをもってくることにしたのだと思います。それは確信的なものであり、まさにその効果は抜群で、私の眼を釘付けにしてしまいました。

 

牧進が得意とする蝶も、その動きが素晴らしい。ちょっと拡大図も。

春飇03

 

山種美術館は何度も来ていますが、この絵に出会ったのは初めて。じっくりと時間を掛けて、その一枚を味わってきました。今回の特別展はもうすぐ終わりですので、間に合って本当によかった。

 

根津美術館での青銅器や茶器に加え、山種美術館で日本画を堪能して、この日はもうすっかりアートな気分。気分よく帰阪の途につくことが出来たのであります。