秋の花をいかす
ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。
本日請負契約を締結させていただいたお客さま、そして設計スタッフの平野と一緒に、その敷地へとやってきました。来週の解体着工を前に、敷地内に生えている樹木をチェックしに来たんです。
土地の購入からスタートした家づくり。敷地内に元々生えている樹木にも、今回の新しい家に使えるものもあり、新しい家と位置が重なってしまって、建物と一緒に取り去る必要のあるものとがあります。その選定をご一緒したのでした。
百日紅、花水木、カナメモチ、南天など、なかなか良い樹々が、今度の新しい家からも楽しめそうな位置にありました。それらには「解体屋さん、伐らないで」という意味で、テープを巻いてきましたよ。
そして最後に、今回の家づくりでは駐車場になる場所で、みんながとても残念な気持ちになってしまったのでした。冒頭の写真が、その場所です。
今まで敷地を見た時にはなかった秋の花々が、その場所一面に咲いていたんです。その見事さに、私も思わず声がでました。片方はピンクの可愛らしい花、片方は鮮やかな紫色の花。
その場ではわかりませんでしたが、後で調べたら、画面左は「秋明菊(しゅうめいぎく)」、右側は「アメジストセージ」でした。どちらも今の季節の花。前の持ち主の方が育てておられたんですね。
でも、残念ながらこの場所は、駐車場になってしまうんです。道路から段差なく入ることができるのは、この敷地でこの場所だけ。元は駐車場がなかったのですが、つくるならこの場所以外は、考えにくい。
それはわかっているけれど、惜しい。この見事に咲いた花々を、全部失ってしまうのは、惜しい。口には出さなくても、全員そう感じていたと思います。
う~ん、では、こうしましょうか。お客さまと話し合ったのは、「全部は無理でも、少しだけでも、生かせるものを生かす」ということでした。
解体まで、まだ日はあります。全ての花はとても無理ですが、一部だけでも、鉢をもってきて、移してやる。そんな方法を探してみよう。そうお考えくださいました。私たちも嬉しいし、花々もそうでしょうね。
それを聞いてから、花々を見ながら改めて考えました。最初にこの敷地を見たのがこの季節だったら、この花々があったなら、ここに駐車場をつくろうとはしなかっただろうか、と。
いや、やっぱりそれは難しい。道から入れる駐車場は、ここしかない。その仕方のないことの中で、ほんの一部でも、失われてしまう植物の中から生命を救うことができそうです。
そんな話し合いがお客さまとできて、この敷地の使い方を設計した私自身も、今日はなにか救われたような気がしたものでした。