稜線の妙

2014.5.6|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

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ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。

 

今日は連休の最終日。私も自宅での志事を少し、あとはお休みにさせていただきました。ゆっくりしようかと思っていましたが、急な遠方からの来客があったりして、思いがけず大阪観光に外出する感じの午後になったのでした。

 

今日は昨日の雨もやんで、気持ちのよいお天気。それならば、春のアウトドアを楽しむ感じで、と考え、大阪城公園へと繰り出した次第。私もかなり久しぶりでしたが、なかなか気持ちのよい時間を過ごすことが出来ましたよ。

 

来訪のお客さんがどう感じるかは別にして、私が大阪城に行くとき、一番惚れ惚れして眺めるのは、その石垣です。今存在している大阪城は昭和の築城、しかも鉄筋コンクリートですので、正直なところ私自身にあまり興味はありません。

 

しかし、その周囲の石垣は、徳川時代に「大坂城」が再建された頃の最高の技術を使ったものが、今に残っている遺構です。元和から寛永にかけてのこの時代、いわゆる築城術はその最盛期を迎えたと言われ、その技術がこの石垣には惜しみなく使われたと言います。

 

冒頭の写真は、客人の案内の合間に私の好きなアングルでその石垣をおさめたもの。幾重にも連なる高石垣が、なんとも言えない美しさではありませんか。豪壮であり、かつ洗練された美を感じますね。

 

この石垣の角の部分に生まれる「稜線」は独特の曲線による美しさをもち、「扇の勾配」と呼ばれています。その稜線をつくる角の部分の石とその次の石を「角石」と「角脇石」というそうですが、その石が、ちょうど井桁(いげた)上に交互に組まれているのが、おわかりでしょうか。

 

このような井桁組みで稜線をかたちづくる方法を「算木積み(さんぎづみ)」というそうです。その卓越した技術による曲線の連なりが、素晴らしい造形美をつくりあげています。今日もしばしその「扇の勾配」を惚れぼれと眺めていた次第。

 

コンクリートという、自由な形に固めることができる素材が発見される前、建物が地面に接するところ、あるいは土地の造成に関しては、すべて石積みが用いられてきました。その技術たるや、今の先端技術をもってしても難しい、まさに神業のレベルにあると言います。

 

逆に、コンクリートが使われるようになってから廃れてしまったその技術は、今やその遺構をもってしか体験することが出来ないようになってしまっているんですね。ある技術の進歩の陰で旧来の技術が見られなくなる。この石積みは、日本建築のその大きな例でしょう。

 

今日はそんなことも、訪れた客人に説明をすることができました。そして改めて、今に遺るその美しい石組みの曲線美を眼に焼きつけていた、そんな今年のGWの最後の日だったのでした。