組積のデザイン

2017.7.20|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

〈木の家と板塀に馴染む正方形グリッドは、よく知られたあの製品です。〉

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

昨日は書評のブログでしたが、私の行動としては完成した木の家に客人をお連れしていたんです。川西に建つ家ということで、親しくしていただいている同市在住のライフオーガナイザー、中村さんをご案内。

 

この家のことは、「体感のご案内」などで何度かこのブログに書いていますが、今日はちょっと違う観点で、私が気に入っている部分をご紹介いたしましょう。それが冒頭の写真の場所、屋外の板塀まわりです。

 

この正方形のグリッドに区切られた板塀の基礎の部分、これがコンクリートブロックだと言ったら、皆さんはどうお感じになりますか?あの灰色の長方形が並ぶブロック塀とは、だいぶ雰囲気が違いますね。

 

こういう、ブロックなのにそう見えないタイプのものを一般的に「化粧ブロック」と呼んだりします。建築の用語で「化粧」とは「そのまま見せる」という意味で、それ相応の見映えの製品、ということです。

 

化粧ブロックにも最近は色んなタイプが出来てきていますが、今回の工事で使ったこれは私も初めて。設計担当の石田さんセレクトだと思いますが、なかなかいい。正方形が整然と並ぶのも、その色合いも。

 

近くに寄ってみると、こんな感じ。正方形の中にさらに細かい縦の筋と、違った色のラインが走っている。なかなか芸が細かいのです。

 

ただ一色でベタッと塗られているより、こうした方法である意味「ムラ」のようなものを出すことで、遠目には自然な風合いが醸し出されてくる。そのことが面白いと感じますし、つくり手の工夫にも感心します。

 

コンクリートブロックや煉瓦(れんが)などのように、積み上げてつくる方法のことを「組積(そせき)」と言います。古代ギリシア・ローマの頃からずっと、欧州では石を使った組積造が建築の基本でした。

 

辞書を引くと、組積は「石・煉瓦・コンクリートブロックなどの材料の間にモルタルを詰めて積み重ねること」とあります。特にコンクリートブロックは間にモルタルを入れ、かつ内部に鉄筋が入るので丈夫。

 

土地の段差部分で土圧(どあつ)を受ける擁壁などはやはり鉄筋コンクリートでつくらないといけませんが、この事例のように土圧のかからない塀のたぐいでは、ブロックはなかなか重宝な材料なんですね。

 

でも、ただのブロックではやはり安っぽいというか、あのブロック塀のイメージがどうしてもついて回りがちです。それを上手に処理できる化粧ブロックの良いものは、大いに需要はあるはずだと感じる次第。

 

自然素材を多用した家づくりではあっても、屋外においてはやはり耐久性が重要視されます。なおかつ軒裏やバルコニー、面格子などに木を使った建物の外観との調和もまた、とても大切なポイントですね。

 

化粧ブロックという私たちにとって身近な素材に、そうしたデザイン上の観点を意識した製品が出来てくるのは非常に喜ばしいこと。何事もそうですが、一部の先鋭的な製品だけが良くてもダメだと思うのです。

 

たくさん使われるスタンダードな製品の品質向上で、全体のレベルが大きくアップする。ちょっと褒め過ぎかもしれませんが、化粧ブロックの良品とはそういう大きな意義を秘める、とすら感じている私なのです。