翠(みどり)の息吹

2014.3.18|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

gyoshu

 

ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。

 

今日は終日、パソコンに向かって図面や資料の作成を続けていました。なんだか外はとても暖かくて、室内でじっと作業しているのが、もったいないくらいでしたね。

 

こういう春の息吹を感じるような日、アウトドアへの憧れが募るような日、私の頭に浮かぶ大好きな絵があります。以前にもこのブログでご紹介したかもしれませんが、冒頭の画像がそれなんです。

 

これは日本画で、『洛北修学院村』という作品。私の大好きな日本画家、速水御舟による、大正7年(1918年)の作です。どうです、この色合い。何というか、絵の中に吸い込まれそうになりませんか。

 

「速い水に舟を御す」の意だともいわれる画号のこの画家は、「炎舞」や「名樹散椿」でとても有名ですが、私の好きなのはなんといってもこの作品。滋賀県立近代美術館の所蔵です。

 

以前読んだ解説によると、この絵は初夏の夕暮れ時を描いたものなのだそうですが、私にはちょっとイメージが湧きません。むしろ、春から初夏に向けての、緑のパワーが溢れかえるような、その力で景色が朦朧としているような、そんな雰囲気に思われますね。

 

この絵の特徴は何と言ってもこの緑から青の色彩美でしょう。この作品を生み出した時期は、御舟が自分で「群青中毒」と言ったほどに、日本画の岩絵の具の中の群青を多用した時期なのだとか。

 

この絵に、その色彩に包み込まれるように鑑賞するとき、私の頭には翠(みどり)という字が浮かんできます。この字はもともと、カワセミの羽の色を指す言葉だそうです。そこから転じて、深い緑色のことになった。

 

緑と群青が融け合うこの絵の雰囲気、どこかカワセミの羽の色にも似て、深い味わいをもっていますね。実際に木々の緑がこういう色になることがあるのかわかりませんが、これは自然のエッセンスというか、その放っている力を象徴的に描いたように、私には感じられます。

 

一日やっていると、パソコンの画面にも見飽きてしまいます。まだ少し先になるかもしれませんが、緑深い山の中へ、この絵のような「翠の息吹」を感じに行きたいなあ。そしてこの絵にも、また会いに行きたいなあ。

 

今日は暖かな風に誘われて、そんなことを夢想しがちな春の一日だったのでした。