街並みとくらし

2014.12.3|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

2014-12-03 12.39.10

 

ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。

 

今日はKJWORKSの忘年会旅行、二日目です。大阪への帰り道、途中で「但馬の小京都」と呼ばれる出石へ立ち寄ってきました。以前は毎年寄っていたものの、ここ何年もご無沙汰で、もう行ったことのないスタッフの方が多いくらい。久しぶりの訪問でした。

 

名物「出石そば」をお昼ご飯にいただき、そして古い街並みを散策したりして、みな思い思いの時間を過ごしたことと思います。私はもちろん、街歩きで古い民家を見て歩いていましたよ。

 

冒頭の写真の民家もそのひとつ。とても美しい「うだつ」をもつ立派な建物ですね。風格ある、とはこういうことを言うのでしょう。民家好きの私は、しばらく「ええなあ」と眺めいっていたのです。

 

しかもよく見ると、玄関の格子戸、そして勝手口の建具も、最近新しくされた様子。このように古い建物が上手に改修してあるのを見ると、それを大切にする気持ちが伝わってきて、嬉しくなってしまいますね。

 

この出石という町は、今は豊岡市の一部。そして2007年に国から「重要伝統的建造物群保存地区」の指定を受けています。これを私たちの業界では略して「重伝建(じゅうでんけん)」と言ったりするのですが、要は「街並み保存」を推進する地区、という意味合いです。

 

京都や奈良にもいくつもある重伝建。大阪では富田林の寺内町もそうですね。指定を受けた地区では、街並み保存の理念に沿って、いわゆる「修景規定」が定められ、建物の外観や外構、増改築工事などに厳しい規制がかかってきます。

 

それは、街並み保存の立場からすると正しいことですが、場合によってはその家に住んでいる方の暮らしを不自由にさせることもあり得ます。断熱や気密という考えのない時代の建物は、現代の住環境から見て非常に厳しい状況であることが多いですから。

 

私自身は今のところ、重伝建地区で家づくりをしたことはありません。しかし、古民家再生なども手がける私たちの目から見て、修景規定にのっとったはずの新築やリフォームでも、何かちぐはぐで、見た目と中での暮らし、どちらかが犠牲になったような例はよく見ます。

 

この建物のように、新旧をうまく調和させながら建物を活かしていく方法も色々とあるはずだし、外観は保存を優先しながら、内部の住まい手の暮らしの質を向上していく方法も、またあるはずなのに。変な事例を見るといつもそう思うんです。

 

歴史ある街並みという文化を遺していくことはもちろん大事です。しかし、その歴史をつくってきた人々とつながる今の住民の皆さんの暮らしを守り、住みやすい町であることも同様に大切ですものね。

 

街並みをどう保存するか、ではなく、街並みと暮らしとをどう両立するのか。重伝建地区での最重要課題はそれでなければなりません。単なる「見た目」の話でなく、「住み続けられる街」であるために。

 

そのための手立てに、私たちKJWORKSも何か力になれたらなあ。今日は何かちょっと歯痒いような気持ちになりながら、出石の街を歩いていた私でした。