赤い実たちの冬

2014.12.1|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

201412-1

 

ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。

 

今日から師走。今年ももうあとひと月、皆さん色々と慌ただしくなってくるのではないでしょうか。そんな中、毎月描いている「住まいの学校」のチラシ、今月もご購読の方々のもとへ届いた頃でしょう。

 

今月は、3つの違う植物を描きました。上から、南天、万両、千両ですね。ご覧いただくとおわかりの通り、どれもこの季節に真っ赤な実をつけてくれるというが共通点。赤い実をテーマに選んでみたんです。

 

千両、万両もその名から縁起がよいとされていますし、南天は「難を転ずる」といって、これも縁起もの。冬景色の中、これらの植物はその真っ赤に艶めく実の色で、めでたく目を楽しませてくれます。

 

面白いのは、同じように赤い玉を実らせるのに、実の付き方がどれも違っていること。南天はメギ科、万両はヤブコウジ科、千両はセンリョウ科と別々ですから、姿かたちはやはり異なるのですね。

 

南天は、葉と同じように元の枝から延びてきて実が付いています。白い花もそんな感じで咲いていますね。万両は青々とした葉の下に隠れるように、横に張り出して実がなります。そしてセンリョウは、放射状に生えた葉の中心部から実が噴出するように成る。

 

描くときにはまずしっかりと観察しますから、その違いがさらによくわかります。同じ赤い粒を実らせるそれぞれの樹々の違いは、同じ目的に向かって違う種族が同じ答えを出したように感じられて、私にはとても興味深かったのでした。

 

その「目的」とは、やはり鳥などの眼によく目立ち、食べてもらうように、ということでしょう。生きるために植物が獲得した、その実と葉の反対色のコントラストは、その戦略の巧みさゆえに、とても美しい。モノクロのイラストから、その実の「照り」を含めた色彩の具合が少しでも伝わりますでしょうか?

 

また、この反対色のコントラストの眺めに、冬ならではの「白」が加わると、更に素敵な風景になります。そう、雪ですね。緑と赤の上に降り積もる白。その三色のそれぞれの際立ちは、なんとも言えず素晴らしい日本の冬景色です。

 

それぞれの植物が生きるために出した答えである、真っ赤な丸い実。その命の色と、それをこの季節の風情と感じ取ってきた日本人の感覚とを、今回のチラシで少しでも味わっていただければ、作者としてはとても嬉しいのであります。