雨をしらべる

2013.6.25|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

『雨の名前』  高橋順子:文 佐藤秀明:写真   小学館

 

ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。

 

この本、その名の通り、「雨の呼び名」だけで出来ている本です。内容は5章に分かれていて、春の雨、夏の雨、秋の雨、冬の雨、季知らず(ときしらず)の雨と、その時々に降る雨、その呼び方を集めたものなんですね。

 

それで一冊の本が出来てしまう、ということに、まず驚きます。そして、それほどたくさんの名前を付けたくなるほどに、この国は四季折々の風情ある雨の情景をもっているんだなあ、としみじみ感じてしまいます。

 

今は梅雨と呼ばれる時期ですが、この呼び名は、梅の実が熟するころの雨だから、ですね。私もそれは知っていましたが、なぜ「つゆ」と読むのかは知りませんでした。その語源としては諸説あり、はっきりしていないのだそうです。

 

梅雨、あるいは黴雨とも言われるこの時期ですが、この本を使って調べてみると、その梅雨にも本当に様々な呼び名があることに驚かされます。それは例えば、次のようなものです。

 

青梅雨(あおつゆ)、暴れ梅雨(あばれづゆ)、荒梅雨(あらつゆ)、蝦夷梅雨(えぞつゆ)、送り梅雨(おくりづゆ)、男梅雨(おとこづゆ)、女梅雨(おんなづゆ)、返り梅雨(かえりづゆ)、空梅雨(からつゆ)、走り梅雨(はしりづゆ)、迎え梅雨(むかえづゆ)。

 

正直に告白しますと、私は「空梅雨」しかわかりませんでした…。でもひとつひとつの言葉に添えられた説明を読むと、とても面白いのです。例えば「青梅雨」ですと、こうあります。「木々の青葉をなお鮮やかに、色を濃くして降る雨」と。

 

これを読んで、感心しました。確かに、木々の緑が更に濃くなったように感じる雨の時って、ありますよね。その梅雨時期の雨に、名前があった。青梅雨、とても良い言葉ではありませんか。

 

この『雨の名前』、ひとつひとつ読み進むほどに、我々のご先祖さま、古よりの「日本人の感性」というものの凄さ、素晴らしさに唸ること請け合いの、まさに「潤いあふれる」一冊だと言えましょう。