風のとおりみち
〈建替えご計画のお客さまの敷地で、周辺との関係、風の流れを再確認しました。〉
ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。
今日は午後から、建替えの計画にご提案したプラン(間取り)を調整中のお客さまの敷地へ、再び行ってきました。以前には見られなかった、今ある建物からの周辺環境の確認のためです。
ご提案前に確認した建物の外からの状況でも、新しく出来る建物からどんなものが見えるかは、大体想像がつきます。でも、やはり実際に現状を確認できたほうが、精度は更に上がりますね。
そして、見えるもの以外にも、今回確認しておきたかったものがありました。それは、2階での風の流れです。これは眼に見えないので、建物の中に入って実際に体感しないと定かにはわかりません。
冒頭の写真のように、この敷地は北側が一段高くなっています。一段と言っても、家の一階分以上の大きな段差。なので、地面に近いところの現状では、風は淀んでいます。
でも、2階に上がらせていただいて窓に近寄ると、状況は一変しました。この段差に沿って、風がしっかりと向こうから吹いてくる。とても心地がいいんです。
今回ご提案したプランは、この段差を考慮して、家の2階から1階へと立体的に風を流す計画になっています。それは外部からも想像がついたことからの提案でしたが、今日は実際に2階へ上がってみて、それが間違っていないことを確認できました。
しかし、この段差に沿った風の向きは、私の予想と少し角度が違っていました。なので、今日の結果をふまえて、2階の窓の位置の微調整をご提案することに。
敷地がある場所の「大きな地形」にも、「身近な地形」にも、「周囲の建物」にも、風の向きは影響されます。それぞれの場所でそれを可能な限り読み取り、建物の間取りに反映するのは、とても大切なことですね。
この家の周辺もちょうど建替えが多く進んでいる地域ですが、周囲を見ても、あまりそういうことを考慮していないように思える家があちこちに。空調があれば問題ないのかもしれませんが、私にはあまり良い家とは思えません。
今の時期、昼間は暑くても、朝晩はずいぶんと涼しくなり、過ごしやすくなってくる。その「涼しくなってきた」心地よさを肌で感じることが出来る家でありたい。そう思うからです。
春には「風が暖かくなってきた」こと。秋には「朝夕は風が冷え込んできた」こと。そんなことを感じ取れる家で暮らしたい。私はそう思いますし、人が自然環境の一部として暮らすことを忘れてはいけないと思うんです。
このお宅のお客さまとも、そういう感覚を共有できている。話していてそう感じられるのが、私にはとても嬉しいこと。この場所で風通しのよい家を実現するために、今日はいいタイミングでのおさらいの時間となったのでした。