風味、風土、風景

2012.12.12|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

 

ご愛読、ありがとうございます。KJワークス・木の家の設計士、山口です。

 

今日も2日間の視察セミナーから、写真のお菓子「栗きんとん」のお話です。恵那川上屋さんという、栗そのものにとことんこだわったお菓子屋さんに行ってきました。

 

岐阜県の東濃地方では、昔から地元特産の栗を素材にした菓子が盛んにつくられていたそうです。でも、それが名産として広まるにつれ、本来の地元産の栗を使うことが出来なくなり、他地方産のものを大量購入してつくる、という本末転倒の事態になっていたといいます。

 

そしてその味も、栗の運搬の際におこなう燻蒸処理が元で、地産地消であった頃の本来の栗菓子の味とは違ったものになってしまっていたんですね。

 

恵那川上屋の鎌田社長はそれに異を唱え、本来の「地元の食文化」である栗菓子の味を取り戻すことを始めました。すなわち、栗栽培農家との協力体制による、完全な地産体制の構築です。

 

栗農家と共に美味しい栗をつくる研究や様々な取り組み、超低樹高栽培などの工夫を重ね、ようやく「昔の味」を取り戻すことが出来たといいます。それはさぞや大変な道のりだったことだろうと、鎌田社長のお話を聞いて私は感動してしまったのでした。

 

この栗きんとんを食べると、その上品で自然な甘さに驚かされます。私が昔食べたものは、もっとくどい甘さだったように思うんです。今考えると、それが素材の良くないところを隠すための濃い味付けだったのかもしれませんね。

同社のHPにはこう書かれています。

「恵那川上屋はその小さなお菓子を通して、全国の人々にこの地域の風土が生んだもの、そして育んだものの豊かさと味わい、日本人の持つ美しい伝統を伝えてゆくことが使命であると考えます。」

 

そして同社のコンセプト的なキーワードが、今日のタイトル「風味、風土、風景」です。その地の風土、風景というものと重なりあうように「風味」というものがある。それは「その地の食文化」というような意味なのでしょう。

 

「栗菓子」という風味を復活させた同社の取り組みは、21世紀の「食」というもの、そして「地域性」というもののあるべき道を強く指し示すものだと思います。木の家に関わる「林業」などにも通じるものを感じました。

 

風味、風土、風景のある「ふるさと」。なくしてしまってはいけない、人のアイデンティティの源なのですね。素晴らしい学びをいただき、感謝です。