龍造寺の長屋

2013.8.7|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

 

ご愛読、ありがとうございます。KJWORKS・木の家のくらしプロデューサー、山口です。

 

今日は、少し早めにお客さま宅で業務を終えたので、以前から気になっていた、大阪市内のある「長屋」に立ち寄ってきました。それは、大阪市中央区龍造寺町というところにある、六軒長屋です。

 

この長屋は、谷町六丁目の駅からほんのすぐそばにあります。その立地ですから、後ろにマンションが見えるように、周囲はどんどんと開発され、高層建築化しています。なんとか、かろうじて残っている、という状態なのですね。

 

でもこの建物は、築103年という、明治のものなんです。そのような時期の建物がこの大阪市の中心地に残っているという、その貴重さ。そして、この写真ではわかりませんが、上町台地の形づくる、その「坂の街並み」の面白さ。それを今日は自分の目で見、体験することが出来ました。

 

この貴重な築100年を数える長屋は、大阪市から「登録文化財指定」への申請がおこなわれるそうです。それを知って、私も見ておこうと思ったわけですが、本当に、今そういう指定をしていかないと、こういった歴史的建築物は、いとも簡単に建て替えられてしまうんです。

 

家づくりに携わるものとして、こういった「昔の家」がどんどんと喪われていくことへの危機感はいつもあって、ニュース等でそういった情報を知ると、とにかく見に行ったり、あるいは保存運動に少しでも携わったり、ということを私も続けています。

 

住宅建築は、一方で歴史的な文化財としての価値があっても、一方でその中に人が住んでいるという事情があると、おいそれと文化財登録や伝統的建築物群保存地区の指定はしにくい、という、相反する事情があったりするので、優れているからいつまでも残る、とは言い切れないのが、難しいところ。

 

それこそが、絵画や彫刻と違うところです。文化財であって、かたや暮らしの器である。それは芸術作品なのか、工芸品の大きなものなのか、耐久性消費財なのか、不動産なのか。

 

まだまだそういった「価値の確立」ができていないと思われる中で、少なくとも大阪市は、この素晴らしい長屋を文化財登録申請しました。それそのものは、たいへんに意義のあることだと思います。

 

そのニュースがきっかけとは言え、建てられてから103年を数える、ある素晴らしい建物をじっくりと見ることが出来ました。やはり感動しますし、自分たちが建てる「木想家」は、100年の後にこのような元気な姿を留めておくことができるのだろうか、そんなことも感じます。

 

やはり、「歴史の重みを身にまとった建物」を見ると、ただ愉しむだけでなく、自分たちが日々つくっている家は、果たしてそのように出来ているのか?という確認の目にもなり、一石二鳥とも言えますね。

 

龍造寺町の長屋は、「建築物を残す」という点において、大いなる先輩です。その見てきた100年という歴史を、この家に使われている「手法」を通して、次の世代の建築物へと伝えないといけない。そんなことを今日は思ったのでした。

 

古さ=美徳であり、価値である。そういうことを考える国になるために、古い建物の処分の仕方がいま、問われている。そう言えると思います。